90年代、バスケブームに火をつけた井上雄彦氏の『SLAM DUNK(スラムダンク)』。1996年まで約6年間にわたって 『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていたが、2022年の今冬、新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公開が決まり、注目度が高まっている。
そんな『スラムダンク』では、ワンプレーでガラッと試合の流れが変わるシーンがたびたび見られるが、今回はアウェーな空気を一変させた驚異のワンプレイをお届けしたい。
※以下には、コミック『スラムダンク』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■ライバルである陵南の選手まで味方につけた赤木剛憲、渾身のディフェンス
主人公・桜木花道のいる湘北高校は、インターハイ予選で神奈川県の王者に君臨する海南大附属と対戦する。過去16年連続でインターハイに出場し「常勝」を掲げる海南は、無名の湘北にとっては格上の相手だった。
湘北キャプテンの赤木剛憲は、大舞台で王者・海南と戦う日を一年の頃から思い描いてきた。そんな並々ならぬ思いで試合に臨むが、前半に左足首を負傷し、まともに歩けないような状態に……。好調だった赤木を失い、会場は「これで湘北はおわりだ…」という空気に包まれる。
しかし後半、赤木はテーピングで足首を固めて試合に復帰。海南キャプテンの牧紳一に「オレが敵のプレイヤーを尊敬するのは初めてだぜ…!!」と言わせるほど、鬼気迫るプレーを続けた。
そんな赤木の奮闘もあり、両者一歩も譲らないまま試合時間は残りわずか。神奈川ナンバーワンと称される牧は、赤木を警戒してフェイクまで入れた上で、とどめとなりうるシュートを放つ。それにも赤木は反応し、牧のシュートボールにかすかに触れたうえ、リバウンドまで奪取してみせた。
この赤木のワンプレイに会場は大きく沸き、赤木も「牧にだってオレは負けてないぞ!!」「オレは間違ってはいなかった」と心の中で奮い立つ。その赤木のプレーに、スタンドで見ていたライバル校・陵南の選手たちも思わず立ち上がり、とくに魚住純は「倒せ赤木!!」「牧を倒してこい!!」と大声で激励していたのも忘れられない感動的なシーンだ。