■身分差を超えた尊い友情 『金色のガッシュ!!』シェリーとココ
雷句誠氏の『金色のガッシュ!!』は、天才中学生・清麿が魔物の子・ガッシュと出会い、彼を“やさしい王様”にするため数々のバトルを繰り広げるファンタジー・バトル漫画だ。『週刊少年サンデー』(小学館)で2001年から2007年まで連載されていた作品で、2022年からは各電子書籍サービスにて続編『金色のガッシュ!!2』が配信されている。
本作に登場するシェリーは、フランスの名門ベルモンド家の令嬢。彼女は幼い頃から虐待まがいの英才教育を受け、母親からは「なんで生まれてきたのよ」とまで罵られていた。ある日絶望した彼女は、川に飛び込んでみずから命を絶とうとするが、そこに偶然通りがかった町娘・ココに救われる。
つらい日々をトンネルになぞらえ、「がんばって歩き続ければ、いつか光をあびれるわ」と涙ながらに訴えたココの言葉に、勇気をもらった読者も多いのではないだろうか。
この一件以来、2人はお互いの身分差にもかかわらず、かけがえのない親友同士として仲良くなる。しかし彼女たちのささやかな日常は、ココが邪悪な魔物・ゾフィスに洗脳されたことで終わりを迎えてしまった。シェリーは悪の道に引きこまれた親友を救うため、戦いを愛する魔物・ブラゴとともに激しいバトルに身を投じることに……。
親友を救うべく強大な相手に立ち向かうシェリー。彼女を動かす原動力は、かつて命を救ってもらったことに対する恩だけでなく、一緒に過ごすうち育まれた友情であり、優しく気高いココに対する尊敬の念である。
2人にまつわるエピソードはいろんな意味でアツく、涙なしにはとても読み通せない。それにブラゴが2人の友情を見守っているのもまた良い。