昔から「友人は一生の宝」などと言われている。いないからといって絶対生きていけないわけではないが、なんでも話すことができる信頼の置ける友人がいるだけで、人生の意味が変わってくることもあるだろう。
今回はそんな尊い友情の一例として、少年漫画で描かれた憧れる女同士の友情というテーマでピックアップした3組をご紹介。ぜひ自分の大切な友人を思い浮かべながら、読んでみてほしい。
■守り、守られる関係から認め合う関係へ 『NARUTO』サクラといの
岸本斉史氏の『NARUTO -ナルト-』は、1999年から2014年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載されていた忍者・アクション漫画。落ちこぼれとバカにされてきた少年・うずまきナルトが、里一番の忍“火影”を目指して奮闘する姿が描かれている。国内外を問わず愛された大人気作品で、完結後は原作・監修を岸本氏、作画・池本幹雄氏、脚本・小太刀右京氏によるスピンオフ作『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』が連載されている。
本作のヒロインである春野サクラには、山中いのというライバル兼親友がいる。最初の頃はお互いに「デコリン」「いのぶた」などと口汚く罵り合ったり、何かといがみ合ったりすることが多かった。
しかし実は2人の出会いは、幼い頃にイジメられていたサクラに、いのが手を差し伸べたことがきっかけ。かつてサクラは、いのを「いのちゃん」と慕い、後をついて回っていた。自信を持てないサクラを花のつぼみにたとえ、いのが“今はつぼみでもいつかきれいな花を咲かせるかもしれない”と励ますシーンにはグッとくるものがある。
やがて2人は、うちはサスケという同じ相手を好きになり、サクラがいのに対してライバル宣言をしたことから、前述のような犬猿の仲に。サクラは憧れのいのに追いつき、追い越したいという想いがあっただろうし、いのにしてみれば、いつも自分の後ろに隠れていたサクラが強くなったことに、どこか複雑な感情を抱いていたのかもしれない。
しかし彼女たちは中忍試験の個人戦で本気で戦い、本音をぶつけ合ったことでお互いを認め合う関係に至る。その後も口ゲンカは絶えないが、本来の仲の良さが前面に出てくるように。守り守られる間柄だった2人が、時を経て対等の関係になったという変化が感慨深い。