■『ヒロアカ』のプロトタイプ『僕のヒーロー』
現在も『ジャンプ』で連載中の、堀越耕平氏による『僕のヒーローアカデミア』にも前身作品はある。それは『赤マルジャンプ』２００８ ＷＩＮＴＥＲ号に掲載された読切『僕のヒーロー』。作者がデビューの翌年に描いた作品で『逢魔ヶ刻動物園』５巻に収録されている作品だ。
こちらは『ヒロアカ』同様、ヒーローが日常に存在し怪人と戦うといった設定はそのままだが、主人公が虚弱でヒーローになれなかった営業職のサラリーマン・緑谷弱（みどりやジャック）となっている。一方の『ヒロアカ』では主人公がより親しみやすい少年のキャラになり学生同士のやりとりもメインで描かれている。同作をさらに万人ウケするようにブラッシュアップしたという印象だ。
なお、『僕のヒーロー』に登場するヒーローのスナイプは『ヒロアカ』にも登場。『過狩り狩り』の珠世と愈史郎同様、ファンにとってはうれしい要素だ。
主人公が違っていたり、主人公以外が違っていたり……。ヒット作の前身作品にもいろいろなパターンがあるが、作者の伝えたいテーマやこだわりはどれも一貫していることがうかがえる。だからこそ長く愛される骨太な作品が生み出されたのだろう。
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