8月6日に公開された『ONE PIECE』の新作映画『ONE PIECE FILM RED』の興行収入が早くも120億円を突破。860万人を動員し、まだまだ勢いが止まる様子はなさそうだ。
尾田栄一郎氏による、1997年の連載開始以降国民的作品として広く愛されてきた『ONE PIECE』だが、その前身となるのは、尾田氏が和月伸宏氏のアシスタント時代に描いた短編漫画『ROMANCE DAWN』だ。
同作では、主人公のルフィが特殊な能力のつく木の実を食べてゴム人間になっているという『ONE PIECE』同様の設定はすでに存在しているが、その世界観は少し異なってる。
また『ROMANCE DAWN』には『週刊少年ジャンプ』1996年Summer Special号に掲載されたものと、1996年の『週刊少年ジャンプ』に掲載された、連載を見越したものの2種類があり、両者に登場するキャラクター及びストーリーはルフィ以外は異なっているが、前者には『ONE PIECE』同様シャンクスが登場し、作品の根幹に関わる象徴的な麦わら帽子のやりとりも描かれている。
一方『ジャンプ』本誌に掲載されたバージョンは、現在の『ONE PIECE』との共通点は少ない。こちらは尾田氏の初期作品を集めた『WANTED! 尾田栄一郎短編集』に掲載されている。
「冒険の夜明け」と訳せる『ROMANCE DAWN』というタイトルは、『ONE PIECE』でも第1話及び第601話のサブタイトルとして使われているため、尾田氏にとってもまさに原点といえる、かなりの思い入れがある作品のようだ。これを読めば尾田氏のもっとも描きたかったものがかいま見え、さらに『ONE PIECE』の世界を楽しめるかもしれない。
『WANTED!』での尾田氏のコメントによると、漫画を描き始めた中学時代にすでに「海賊漫画」についての構想があったという。ただ、主人公たちの冒険のイメージがあまりにも大きすぎてノート1冊には収まらないため、「海賊はジャンプで連載する時までとっておこう」と決意したのだとか。そこから数年後、実際に『週刊少年ジャンプ』での連載がスタートとなった海賊漫画『ONE PIECE』。現在物語はいよいよ最終章に突入したが、中学時代に生み出された構想が世界中のファンを魅了し続けていると考えると、あらためてその才能に驚かされるばかりだ。