■極限状態であぶり出された「いくじなし」な性格

 そして、ここからがこの性格診断のポイント。いくつかの質問に答えていくと、「では、これが最後の質問です」と言われ、どこか違う世界に飛ばされます。僕が初めてプレイしたときは井戸の中に飛ばされ、自分は見たことがない怪物の姿になっていました。

 怪物の姿で、わけもわからぬまま、とりあえず井戸から出るとそこは知らない町で3人の男性がいます。怪物の姿を見た老人と商人は逃げ出していきましたが、一人の荒くれものがこちらに立ち向かってきます。よく分からないのでボタンを押すと、なんと自分が火を噴いてそのまま荒くれものを焼き殺してしまうんです。

SFC版『ドラゴンクエスト3』プレイ画面より

 そんなつもりじゃなかったのに……! なんてことをしてしまったんだ! と思いますが、とにかくどうすればいいのか分からないまま町をうろつくと、教会の前に犬がいます。こちらに吠えてくるので怖がっていることが分かりますが、とにかく話しかけようとボタンを押すと、またしても火を噴いてしまいます……!

 かわいそうな荒くれものと犬……もしかしてこのまま火を噴いて町人全員を殺して回るのか……!? そんな物騒なゲームはいやだ! と救いを求めて教会に入るとシスターから「あなたに心があるなら、このまま町を出ていってください」と頼まれます。そこで僕は「あ、もしかして町から出れば終わるのか!この悪夢が!」とシスターに礼を告げようとしてまたも焼き殺し、一目散に町から出て、滝が流れる元の世界に戻ってこられました。

 なんとも後味の悪い結果になった最後の質問。謎の声から診断されたのは「いくじなし」でした。おっしゃる通り。今でもはっきりと覚えています。

SFC版『ドラゴンクエスト3』プレイ画面より

 ただ、それが悔しくてもう一度やり直してみたときに、この性格診断のすごさに気づいたのです。さっきと違う質問がきてるなあ、とは思っていましたが「今度は絶対に誰も殺さないぞ!」という気持ちだったので質問内容はそこまで気にかけておらず、結構テキトーに受け答えしていたように思います。

 すると、「では、これが最後の質問です」と言われ飛ばされた世界が、なんと先ほどとは違う森の中だったんです。ここでこの性格診断のすごさに気がつきます。「もしかして回答次第で質問内容も最後に飛ばされる世界も複数用意されているのか!?」と。

 実はこの性格診断、質問内容もそれなりに面白いのですが、最後のシミュレーション? のようなゲームの部分だけでも8パターン用意されているのです。

 1度しかプレイしない人もいる中で、性格を決めることだけにこれだけの遊び心を用意しておくというそのクリエイター魂には頭が下がります。ちなみにこの森の中にはおじいさんがいて、「左にいけば帰れるけど途中で岩があったらこっちに持ってきてくれ」とお願いされるというイベントが発生します。ワケも分からず運びましたがキリがないので、怖くなってきてやめると、診断結果は「くろうにん」でした。

 性格なのか? とも思いましたが、謎の声からなんだか人間性を認めてもらえたような気がして、当時はそのままプレイした覚えがあります。

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