■「熱い……体が焼ける…」恋人に裏切られた美しい女性の復讐劇『メタルK』
次は『ゴッドサイダー』などで知られる巻来功士氏が描く復讐の物語『メタルK』からサイボーグの冥神慶子。作中では人が溶けたり惨殺されるなどのグロテスクなシーンが多いため、一部ファンからは「トラウマ作品」としてたびたび話題とされる作品だ。
社長令嬢であった冥神慶子は恋人だった兵藤勇たちに両親を殺され、自身も生きたまま火をつけ焼かれてしまった。それから15年後、冥神家に仕える伊郷瑠(イゴール)から屋敷へと呼び出された兵藤だったが、そこで以前と同じ姿のまま若く美しい慶子と出会う。
兵藤は武器輸出を生業とする組織に属しており、そのことが冥神社長に知られてしまったため一家殺害を企てたのだ。自分への愛が藤堂になかった事実を知った慶子は感情が制御できず、オイルの臭いとともに黒い涙を流しながら顔面が醜く崩れていく。そして、顔から流れ出した皮膚は断末魔を上げる藤堂を生きながら溶かし、ついには骨だけの骸にしてしまうのだ。
15年前のあの日、藤堂に裏切られた慶子は伊郷瑠によりサイボーグの身体に移植されていた。だが、興奮状態が続くと高熱を発し皮膚が溶け出してしまうため、ならばと伊郷瑠は皮膚を強い酸性で溶けるゼリー状の硫酸になるよう作り変えていた。そのため慶子は自身の身体を溶かし、それを武器とし操りながら復讐を果たしていく。
本作は人気がありながらも、当初から10週打ち切りが決まっていたことが巻来氏の自伝的漫画『連載終了!』で明かされた。その後の慶子や仲間となった宇田川優などが気になるところだが、巻来氏本人が自費出版の形で本編の続きを同人誌で発行している。