■最強の大王のはずが、まさかのザコキャラ扱い!?

 最後に紹介する噛ませ犬キャラは、鳥山明氏の『ドラゴンボール』に登場したフリーザの父「コルド大王」だ。フリーザといえば“宇宙の帝王”と呼ばれ、ナメック星で悟空を苦しめた強敵だ。そんなフリーザの父がコルドで、フリーザの敗北を受け、超サイヤ人を倒すために地球を訪れた。

 悟空に敗れ、メカ化したフリーザは「たぶんボクだけでもいけるとおもうよ」と父に語ったことから察するに、実力は息子のフリーザ以上。コルドは超サイヤ人・悟空の存在を聞いても余裕の表情を崩さず、自分の敵ではないという自信に満ちあふれていた。

 地球に降り立ったコルド大王たちを遠目に見ていた地球の戦士たちは、その強さを肌で感じ、ベジータが「これで地球は終わりだ」と諦めたほど。唯一の希望である悟空は、いまだ地球に到着していなかった。

 そこに突如現れたのが未来からやってきたトランクスで、剣を抜くといきなりフリーザの体を切り刻んで消滅させてしまう。これにはコルド大王も驚くが、トランクスの強さに興味を持ち、我が子にならないかと勧誘。もちろんトランクスはそんな誘いに応じなかった。

 さらにコルドは剣を見せて欲しいと言い出し、トランクスはあっさり剣を渡す。するとコルドは卑劣にもその剣でトランクスに斬りかかったが、素手で難なく剣を受けとめられ、気功弾で体を撃ち抜かれて即死した。

 こうしてコルド大王は、あのフリーザの父親にもかかわらず、まるでザコキャラのように何の見せ場もないまま、悲しい最期を迎えたのである。


 新たな強者が登場するときや、誰かの強さを印象づける存在として登場する「噛ませ犬キャラ」。憎らしい言動からの鮮やかな負けっぷりで、読者をすっきりさせてくれることも多い。ストーリーを盛り上げるのに不可欠な存在でもあるので、今後も新たな噛ませ犬キャラが次々と登場することだろう。あなたの印象に残っている噛ませ犬キャラには、どんな人物がいるだろうか?

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