とくにバトル系の漫画やアニメキャラには、いわゆる「噛ませ犬キャラ」と呼ばれる存在は欠かせない。まるでネタ振りかのように大勢の前で煽るだけ煽り、どれほど強いのかと期待させておきながら、いざ戦いが始まるとあっさり敗北……。読者が思わず「やられるんかい!」とツッコミたくなるようなキャラクターのことだ。
そんな強者の引き立て役である“噛ませ犬キャラ”の代表格とも言えるのが、鳥山明氏の『ドラゴンボール』に登場するヤムチャではないだろうか。何度も相手を挑発しながら、あっさりとやられてしまう姿は、噛ませ犬界のレジェンド(?)の風格すらある。
だが、名作と呼ばれる漫画には、そんなヤムチャに匹敵するような噛ませ犬キャラが登場するので、それらを厳選して紹介していきたい。
■煽りに煽った挙げ句のワンパンKO!
まずは尾田栄一郎氏の『ONE PIECE(ワンピース)』に登場するハイエナのベラミー。空島を目指すルフィたちが訪れた港町「モックタウン」の酒場で、我が物顔で酒盛りをしていたのがベラミー率いる海賊団だ。
無法者たちが集まるモックタウンでも一目置かれた存在であるベラミー。“処刑人”の異名をとるロシオ海賊団の船長とのギャンブルで敗れると、イカサマだと言いがかりをつけて逆にぶちのめす始末。ルフィやゾロに対しても反撃しないのをいいことに一方的に暴行を加えるなど、傍若無人ぶりを見せつけた。
その後、モンブラン・クリケットが持つという宝に興味を示したベラミーは、クリケットたちを襲撃して金塊を強奪する。これに怒ったルフィは、クリケットの大切な宝を取り戻すためにベラミーのもとを訪れた。
酒場でのケンカではルフィが一切反撃しなかったことを、ベラミーやその海賊団のメンバーはあざ笑う。そしてベラミーは「スプリング跳人(ホッパー)」という目にも止まらない攻撃でルフィに突撃したが、ルフィはたった1発のパンチでベラミーを失神KOさせた。
モックタウンではいかにも大物海賊という扱いだったベラミー。それなのに、格下に見て散々バカにしていたルフィに瞬殺されるという、あまりにも見事な噛ませ犬っぷりだった。