■長い年月を感じさせるレイザーとジンの友情
次はグリードアイランド編から、ドッジボール対決後にジンについて話すレイザーの回想シーンだ。
まだ死刑囚の凶暴さが残る若きレイザーに対して、これまた若き日のジンが、いつか自分の息子がグリードアイランドに来る、と話す。そして、そのときは本気でぶっ飛ばせと。さすがのレイザーも「殺してもいいってことかよ?」と聞き返すが、そこでジンは「なめんなよ。オレの息子だぜ?」と返したのだった。
この一言、個人的には2通りの解釈があると思う。1つ目は、単純に自分の息子を信用しているということ。
ジンは選挙編からも分かる通り、未来予知でもしたかのような勘の良さ、頭の冴えを見せている。ゴンがグリードアイランドに来るということは、レイザーとも渡り合える実力になっている。そう考えたのだろう。そしてこの話を聞いたゴンの心情。会ったこともない父親が、自分をこんなに信用してくれていた。息子として誇らしい気持ちになったのではないだろうか?
2つ目は、深読みかもしれないが、もうレイザーが意味なく殺人をしないだろう、というジンの信頼があったのではないだろうか。直後にジンは、「それじゃ頼んだぜ! レイザー」と肩を叩いている。レイザーはこのときについて「生まれて初めて名前を呼ばれた気がした」と振り返っているが、それから長い年月、ゲーム内でアイテムを守り続けていたのだからジンの彼を見る目は間違っていなかったのだろう。
わずか数コマのやりとりだったが、レイザーとの深い友情や、長い年月をかけて築いた信頼関係を感じさせるシーンだった。