冨樫義博『HUNTER×HUNTER』メルエム、レイザー、ブロヴーダも…キャラの細かい心情が伝わってくる「感動名シーン」3選の画像
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 2018年11月から長期休載中の人気漫画『HUNTER×HUNTER』の作者・冨樫義博氏が、8月3日にツイッターを更新。右下に「10」とページ番号が振られた原稿用紙の画像とともに「No392完成。No395…台詞清書中。」とコメントを投稿した。

 現在連載は第390話を最後に休載中だが、7月27日のツイートで第391話の完成を報告した冨樫氏。そこから1週間で続く第392話の完成が伝えられた。いよいよ連載再開の気配が漂う中、これまで刊行されたコミックス36巻を読み返しているファンも多いのではないだろうか。

 同作の魅力やはり念能力を用いた緻密なバトル描写。そしてそれぞれの信念のもと動くキャラクターによるセリフが魅力で、ゾクっと震え上がってしまうような恐ろしいものから、ふと飛び出す感動的なものまで、冨樫作品ならではセリフは少なくない。

 そこで今回は、これまで描かれた『HUNTER×HUNTER』の物語の中から、キャラの細かい心情が伝わる感動セリフをいくつか振り返っていきたいと思う。

■最期に真の王に成った? メルエムとウェルフィンのやり取りが泣ける

「逢えるといいな、その者と。そして可能なら人間として生きるが良い」

 これは常に理知的で生物として最上位に君臨するメルエムが、自分よりも遥かに能力が劣るウェルフィンに放ったこの一言。この直前に「オレの王はジャイロただひとり!! 貴様等は敵だ!!」と暴言を吐いていたウェルフィン。以前の王相手であれば間違いなく殺されていたところだが、彼によって「コムギ」の名を思い出した王は前述のセリフを残して去っていった。

 メルエムがその場を立ち去ったのは、彼の器量の問題ではないと思う。自身の死期が近いことが分かり、コムギの記憶を取り戻したことで王ではなく一個人として最期を迎えようと考えたのだろう。

 またかつて人間を家畜として見ていたメルエムが、「人間として生きるが良い」と人として生きるようにと言った裏にはどんな気持ちがあったのか。コムギとの出会いが彼を変えたのか、最期の最期でメルエムは蟻ではなく人間に近づいた。そんなセリフだった。

 この後の、メルエムとコムギのやりとりは同作屈指の感動場面。今まで完全無欠の生命体として描かれていたメルエムの、心の底を見ることができた名シーンだった。

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