■『幽白』のジョルジュ早乙女に『セーラームーン』の敵カップル

 続いては、冨樫義博氏による『幽遊白書』。主人公の浦飯幽助が霊界探偵として活動し、果ては魔界での戦いを繰り広げる大ヒット作品だ。

 同作のアニメに登場する、「ジョルジュ早乙女」というキャラを覚えているだろうか。名前でピンとこなくても、いつもコエンマのそばにいるツノの生えた青鬼といえば思い出す人も多いだろう。

 コエンマとは息ぴったりのジョルジュ早乙女だが、実はアニメにしか登場しない。彼が初登場した10話より以前では角が2本ある赤鬼がジョルジュのポジションを務めており、初期のジョルジュは複数人の鬼とともに登場していた。後にポジションを確立したためか、その個性でどんどんコエンマのパートナー的ポジションに落ち着いたようだ。

 まさにモブのオリジナルキャラからの大出世。実は本編のナレーションも彼が務めていたという設定がアニメ最終回前話で明らかになる。

 最後は、武内直子氏による漫画が原作のアニメ『美少女戦士セーラームーン』。毎年主人公たちは変わらず、仲間が増えたり敵が変わることで新しいシリーズになるという体裁をとっている作品だ。

 同作では、2作目にあたる『R』の前半に登場する敵キャラクター「エイル」と「アン」がオリジナルキャラクター。魔界樹編と呼ばれる『R』前半は、原作に物語が追いつかないように作られたオリジナルストーリーのため、原作漫画や2014年から放送されていたリメイク版の『Crystal』には存在しない。

 エイルとアンは、死にかけている魔界樹を生き長らえさせるためにエナジーを求めてやってきた宇宙人で恋人同士。それぞれ水色とピンクの髪色が鮮やかな外見をしている。彼らはセーラー戦士たちと対決していく中で本当の愛とは何なのかを知っていく。原作には登場しなくても、『セーラームーン』の世界観に似合う、美学にあふれた設定のキャラクターだった。

 このほかにも、『キン肉マン』のキン骨オババや『サザエさん』の花沢さんなど、作品の中でも印象的なキャラクターなのに実はアニメオリジナルキャラだったという例は少なくない。

 しかし『名探偵コナン』の高木刑事のように、アニメオリジナルキャラから原作への逆輸入で大成功という例もある。アニメオリジナルのキャラたちには個性と魅力を爆発させて、これからも頑張ってほしい。彼らの未来に幸あれ。

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