『銀魂』のハンカチ必須な「涙腺崩壊エピソード」3選 じんわり泣ける空知英秋の“秀逸すぎる感動回”の数々の画像
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 空知英秋氏の『銀魂』は、2003年から2018年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた人気漫画。宇宙人“天人(あまんと)”の襲来により近代化した江戸を舞台に、主人公・坂田銀時とその仲間たちがドタバタな日常を繰り広げる人情コメディだ。

 本作は基本的にギャグ要素が強めだが、“紅桜篇”や“真選組動乱篇”など、シリアスで感動的な長編エピソードも定期的に登場。ふだんふざけてばかりの登場人物たちがかっこいい姿を見せるので、そのギャップのとりこになってしまう読者も多い。

 ただし感動するという点で言えば、魅力的なのは長編だけではない。1、2話ほどで完結する短いエピソードの中にも、味のある人情話が数多く存在する。今回はその中から、とくに筆者が「泣ける」と感じた名エピソードを紹介していこう。

■銀時を決して諦めない…神楽と新八との絆

 コミックス第7巻の第50訓から52訓に描かれたエピソードは、銀時が交通事故に遭い、記憶喪失になってしまったところから始まる。

 記憶を失った銀時はふだんの彼より数段まともで、周りから本来のダメダメっぷりを聞かされるうちに何も思い出したくないと思うように。いつも一緒にいた人間から「年中死んだ魚のような目をして ぐーたら生きる屍のような男だった」とまで言われれば、元に戻りたくないと思うのも無理はない。

 神楽と新八は記憶を取り戻させるために銀時をあちこち連れまわすが、何かを思い出すことはなかった。さらに間が悪いことに、留守中の万事屋に宇宙船が突っこむというアクシデントがあり、建物は半壊。住まいまで失った銀時は万事屋の解散を宣言し、神楽と新八に「自由になってください」と伝える。そして過去を捨てて生まれ変わると告げて、姿を消してしまった。

 万事屋を去った後、銀時はテロリストの営む工場と知らずに働いていたが、ある日騒動に巻きこまれてしまう。だが、そんな銀時のピンチに駆けつけたのは神楽と新八だった。

 この期に及んでも「好きに生きていこうって言ったじゃないか」と二人が現れたことに戸惑いを見せる銀時に、神楽と新八は「こちとらとっくに好きに生きてんだ」「好きでアンタと一緒にいんだよ」と言い放つ。

 そんな彼らの想いが伝わったのか、突如銀時は失っていた記憶を取り戻し、対峙していた賊を壊滅させるのだった。

 このエピソードは基本的にギャグがメインで、真人間と化した銀時と周囲の人物のやりとりや、なぜか一緒に記憶喪失になってしまった真選組局長・近藤も絡んだコミカルな描写など、笑える部分が多い。しかし、神楽と新八の銀時に対する想いがしっかりと描かれており、とくに今回紹介したラストシーンにはグッとくるものがあった。

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