■ドラクエの世界を彩るすぎやまこういち氏の音楽

 最後に、やはり外せないのが『ドラゴンクエスト』の世界を鮮やかに作り上げた、すぎやまこういちさんによる音楽だろう。「戦士はひとり征く」では雄大な世界に旅立つ戦士の姿が、「ジプシー・ダンス」では町一番の踊り子が、すぎやまさんの音楽を目を閉じて聴くと生き生きとしたキャラたちの姿が目の前に浮かんでくる。

 荘厳な「謎の城」が流れる中でマスタードラゴンの声を聞いた時は思わずぞくりとし、対ラスボス戦闘曲が流れると叩いても叩いても倒れてくれない彼の敵を思い出した。すぎやまさんが作り上げた音楽が、まるで脳内の紙芝居が一枚づつめくられるように声優の声と融合し『ドラクエ4シアター』の中で蘇るのだ。

 記事を書くにあたり、1枚70分ほどのCD3枚を何度も聞き返してみたが、劇中音楽や声優の演技に引き込まれてしまった。ゲーム画面もなく、アニメ絵もないはずなのに、頭の中では生き生きとキャラが動いているのだ。

 ファミコン版『ドラクエIV』発売から32年がたち、今年9月には『ドラゴンクエストX オフライン版』の発売も待たれる同シリーズ。奥深い世界観でさらに我々を楽しませてほしい。

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