■なんちゃってハードボイルドな郵便配達人
最後に紹介するのはコミックス第24巻収録の第235話、杉元一行が蒸気船に乗船中、強盗事件に巻き込まれたときに登場した人物。通称・地獄の郵便配達人である。
突然の出来事に船内は緊張に包まれるが、たまたま軍の船が近づいてきたため、強盗たちはその場をやり過ごそうと一般人をよそおう。一方で杉元たちは、船が第七師団のものだったらまずいという考えから、下手に身動きがとれない。
そんな中突如動き出したのが、船に乗っていた郵便配達人だ。彼は携帯していた拳銃を構えると、「ここがテメエらの三途の川だ!!!」と強盗相手に銃をぶっ放す。すると銃弾が頭を正確に撃ちぬき、強盗は一瞬で倒れてしまった。郵便配達人は、人生初の発砲でうまく敵を倒したことに、ドキドキとニヤニヤをおさえられない。
実のところ強盗を仕留めたのは、別の小舟から同時に発砲していた狙撃手・ヴァシリだった。しかし郵便配達人はそんなことにも気づかず、「地獄から手紙を出すんだなウジ虫どもッ」「俺は地獄の郵便配達人だぜ!!」と銃を乱射し続ける。そのイカれっぷりには、思わず杉元も「アイツが一番やばい」とドン引きしてしまうほどだった。
強力な助っ人かと思いきやただの勘違いという、なんちゃってハードボイルドっぷりがコミカルで強く印象に残る。決めゼリフがいちいちカッコ良く、サマになっているように見えるのが余計に面白い。
メインキャラはもちろん、脇役にも魅力的な人物が多い『ゴールデンカムイ』。最終巻発売後も、何度も読み返してお気に入りのキャラを見つけたいところだ。