■脅しに屈しない姿がかっこよすぎる船長

 続いてはコミックス第22巻収録の第214話に登場する、樺太連絡船の船長。このとき杉元とアシㇼパ、白石、ヴァシリの4名は、鶴見率いる第七師団から追われていた。アシㇼパが鶴見に協力することを拒否し、自分たちで金塊を見つけると決めたからである。

 アシㇼパを確保しなんとしても暗号を解読したい鶴見陣営は、必死で逃げる杉元たちをしつこく追い続けた。鯉登や月島、宇佐美といった強敵もそろっており、杉元はあちこちに深い傷を負ってしまう。

 そんな中、彼らが逃走手段として選んだのが樺太連絡船。海のルートを使って樺太から脱出することで、敵の追跡をまこうとしたのである。ただ鶴見たちはどこまでもしつこく、雷型駆逐艦を使って砲撃をしてまで追いかけてきた。さらに連絡船を操縦中の船長に対しても、「直チニ機関ヲ停止セヨ」との命令がくだされる。

 しかしこの船長がただ者ではなかった。彼は血まみれの杉元の「止めないでくれ」という頼みに対し、ろくに事情も聞かないまま「よっしゃ」と応じる。そして「そもそもよぉ 民間人を乗せてる俺の船に向かって 脅しでもいきなり砲撃してくる奴らの命令なんぞ 聞いてやる気なんかねえんだよ!!」と啖呵を切ると、駆逐艦を無視して全速前進を命じた。

 軍に威嚇されても動じないどころか、自分の矜持に従い刃向かってみせる姿には思わず血が沸き立った。船長の背後で圧倒されたような笑みを浮かべた杉元の気持ちがよく分かる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4