■軽くツッコんだだけで重傷!?
3年後に恐ろしい2体の人造人間が現れることを聞いた、孫悟空をはじめとする地球の戦士たち。殺人マシンとの戦いに生き残るべく、それぞれ厳しい修行を決意する。
悟空も息子・悟飯をもっと強く鍛えるべく、修行をさせようと考えた。しかし、悟飯の将来を考えて勉強をさせたいチチは猛反対。地球の未来よりも悟飯の勉強が大事なのかと聞いた悟空に、チチは「なにがおころうとしったこっちゃねえ!!!」「悟飯ちゃんの勉強がいっとう大事なんだ」と答えた。
これを聞いた悟空が「ジョーダンばっかし~~!」と、笑顔でチチの背中に軽くツッコミを入れると、勢いよく吹っ飛んだチチの体は家の壁を突き破って外の岩に激突。大ケガを負ったチチは憮然とした表情で悟空の手当を受けていた。
強すぎるサイヤ人を夫に持つと、些細なことも命がけ。かつて天下一武道会に出たほどの猛者であるチチじゃなかったら即死していたかもしれない……。
それなのに「も…もういいだ…なくのはいつだって女なんだ…」と言いながら、結局悟飯の修行も許したチチは立派すぎる。
■働かず、無職なのが基本…!?
最後にもう一つ。サイヤ人の夫は、なぜか働かないのも共通点のようだ。チチは「結婚してから一銭だってかせいだことあったか!?」と悟空に言っていたし、ベジータと事実婚のような関係であるブルマも「ぜんっぜん働かないのよ! このひと」「あんたのおとうさんといっしょ! サイヤ人って働かないのかしら」と、ベジータのことを悟飯に愚痴っている。
たしかにサイヤ人がまともに働くシーンは描かれていない。ただし、悟空はかなりの財産を持っていた牛魔王の娘のチチと結婚しているし、ベジータは世界有数の大企業「カプセルコーポレーション」の社長令嬢ブルマをパートナーにしていたので、それほどお金に困らない生活を送っていたことも影響しているのかも(のちにチチは、お父の財産も残り少なくなって…と言っていたが)。
逆玉の輿……というか“究極のヒモ夫”と言っても過言ではないだろう。とはいえ、サイヤ人の男たちは地球を救うために体を張っているのだから、妻としては頼もしく、誇らしいと感じる部分はあるのかもしれない。
子どもの頃は、孫悟空やベジータの圧倒的な強さに魅せられ、とにかく頼もしい存在に見えたものだ。しかし大人になった今、夫やパートナーとしての彼らを見ると、現実的な部分に目がいってしまうように……。まったく違った視点で読み返してみるのも面白いと感じた次第だ。