■“ホコタテ対決”での切島とファットガムの粘り強い戦いぶり

 続いては、死穢八斎會潜入捜査の際の切島鋭児郎とファットガムの死闘。切島たちは捜査中、組の実力者集団“八斎衆”のメンバーである乱波・天蓋と遭遇。「矛と盾」を自称する通り、鋭い攻撃を連打できる乱波、鉄のようなバリアを張れる天蓋と戦うことになる。

 天蓋が自分たちと比較して「盾と盾」と言っているように、切島とファットガムは2人とも防御を得意としている。さらに切島は、自身最強の防御力を誇る“安無嶺過武瑠(アンブレイカブル)”で乱波の攻撃を受けきれなかったことで、心が折れかけてしまった。

 そんな切島の目の前で、ファットガムは何度も殴られどんどん防御力を失っていく。実はファットガムには「吸収した衝撃を一気に放出する」という切り札があったのだが、それを発動する余裕すらない。

 天蓋は恐怖で固まった切島を見て、「ああなったら二度と立ち直れまい」と憐れむ。しかし、ファットガムに限界が訪れ、いよいよ負ける――その最後の最後で、切島はファットガムの前に飛び出した。結果、必死で硬化を続けながらも倒れてしまうが、一瞬作られた隙でファットガムが攻撃を繰り出すことに成功する。こうして2人は“ホコタテ勝負”を制することになったのだった。

 切島は自分の弱さを恐れ、“守れるヒーロー”になりたいと願っていた。恐怖心に打ち克ってプロヒーローを守り、結果として勝利に導いたことは、彼にとっての大きな前進となったはずである。そんな彼の不屈の精神には、敵である乱波ですら敬意を示した。

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