■合同戦闘訓練で爆豪チームがみせたまさかのチームプレイ

 最後に取り上げるのは、雄英高校ヒーロー科A組とB組の合同戦闘訓練での共闘シーンである。チーム対抗戦という形式のこの訓練では、印象的な連係プレーが数多く披露された。しかしなかでも特に印象的なのが、爆豪・耳郎・瀬呂・砂藤チームの共闘である。

 爆豪はひとりでも十分に戦える個性と、高すぎるプライドのせいで、仲間を無視してワンマンプレーをしがちだ。対戦相手にもそれを見抜かれており、「十中八九爆豪の行動・命令に他が合わせるワンマンチーム」と評されていた。敵チームを引っ張る取蔭はその弱点を突こうとする。正面から戦うのではなく待ち伏せでミスを誘い、相手の動きをガタガタにしようとする作戦だ。

 実際、訓練冒頭で爆豪は「ついてこい」を連発するばかりで、相手側の作戦に翻弄されているように見えた。しかし仲間たちとさまざまなイベントを乗り越えてきた爆豪は、もはやこれまでの彼ではない。彼は訓練前、“お互いが危ないときにお互いを助ける”という約束をしており、実際に耳郎のピンチを身を挺して助けた。自分さえ勝てば良く、また誰かに頼ることを極端に嫌っていた彼からすれば、とんでもない進歩である。

 強力なサポートのおかげで、爆豪は実力を遺憾なく発揮することができ、チームは圧倒的勝利をおさめた。終盤、爆豪とチームメイトが交わす「任せるぞ」「任された」のやり取りは、これまでの暴君っぷりを知っているからこそ感慨深いものがある。本人は認めたくないだろうが、爆豪もまた“仲間がいるから強くなれる”ヒーローなのだろう。

 ハラハラドキドキのアツいバトルが魅力の『僕のヒーローアカデミア』。今回は特に“共闘”に注目して魅力的な戦闘シーンを紹介してきた。それぞれに強いヒーローたちが、協力することによって何倍にも強くなる姿から目が離せない。

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