1987年の7月13日……ちょうど35年前の今日は、世界的ゲームクリエイター・小島秀夫氏が手がけた『メタルギア(METAL GEAR)』(MSX2)の生まれた日だ。敵となるべく戦わず、潜入することを目的にしたステルスアクションゲーム『メタルギア』シリーズは、全世界で大ヒットし、累計売上本数は5830万本を誇る(※コナミ公式サイトより。2022年3月末時点)。
その中の『メタルギアソリッド』は、シリーズの3作目にあたる。プラットフォームをプレイステーションに移し、シリーズ初の3Dで描かれたほか、カメラワークを始めとする演出には映画的な手法を採用。その重厚かつ繊細なストーリーは“20世紀最高のシナリオ”とも称されている。ゲームとしてだけでなく、ひとつの物語としても大成功をおさめた、まぎれもない名作だ。
好評を博したストーリーでは、敵に占拠された核物質廃棄所に潜入する主人公、ソリッド・スネークを始末しようと、アメリカの特殊部隊“FOXHOUND”(以下、フォックスハウンド)のメンバーが登場したことも思い出深い。隊員たちはそれぞれ特殊な力を持っており、ほかの一般兵とは一線を画す存在として、プレイヤーたちを大いに苦しめた。彼らと戦うことになるボス戦は、いずれも個性的なバトルばかりだった。
今回は『メタルギア』シリーズの原点が生まれた記念すべき日に、『メタルギアソリッド』のボス戦から印象的なものをピックアップして振り返りたい。
■物語のカギを握るガンスリンガー「リボルバー・オセロット」
オセロットは、旧ソ連のスペツナズに所属。「リボルバー」という名が示す通り、リボルバー式拳銃の名手であり、また生粋の拷問マニアとしても知られる。フォックスハウンドのリーダーであるリキッド・スネークの腹心としてソリッド・スネークと対峙する一方、実際はアメリカ政府のスパイであり、大統領の意を受けて行動していた。
物語の任務のひとつであるケネス・ベイカー社長救出に際して、スネークはオセロットと戦う。本作における最初のボス戦である。C4爆弾とともに柱に括り付けられたベイカー社長がいる小さな部屋が舞台で、オセロットと銃撃戦をするという緊迫したシチュエーションに焦った人も多いのではないだろうか。
反対側にいるオセロットを直接撃てば、間にいるベイカー社長に弾が当たりかねない。かといって近くを通ればC4爆弾が起動してしまう。
社長が死ねば即ゲームオーバーなので、プレイヤーはうまく近づきながらオセロットを撃つことになるが、当然オセロットはそれを見越して、逃げながらしつこく攻撃してくる。さらに跳弾を利用して、障害物越しにプレイヤーを狙ってくることもあり、最初のボスとしてはなかなかに手ごわかった。
オセロットは後の作品にも登場し、『メタルギア』の物語の根幹に関わる重要なキャラクターだ。だが、「リボルバー」と呼ばれるようになった状態の彼とは本作でしか戦えない。『メタルギアソリッド3 スネークイーター』でのオセロットはまだ少年で、『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』では、ある理由で人格が違う。シリーズ全体を通して見てみると、“リボルバー”・オセロットと戦える貴重な機会だった。