■湘北の三井寿
プライドの高さといえば、湘北高校３年の三井寿も相当なものだ。もともと中学ＭＶＰの実績がある三井は、海南大附属や陵南などの強豪校からの誘いを蹴り、安西先生にかけてもらった言葉の恩返しをするために湘北バスケ部に入部したという経緯がある。
しかし、彼がケガをして休んでいる間に同じ１年生の赤木剛憲が頭角を現す。焦った三井は足が完治する前に練習を再開し、ケガが再発。その後、赤木がチームの期待を一身に背負って活躍する輝かしい場面を見て、彼のプライドは傷つく。挫折した上にバスケ部から離れ、挙げ句にグレてバスケ部をつぶそうと暴力沙汰まで起こしてしまった。
そんな三井はプライドや意地を捨ててバスケ部に復帰したのかと思いきや、試合中にスタミナが切れてヘロヘロになったときに「オレを誰だと思ってんだ、バカヤロウ」「オレは“最後まであきらめない男”三井だ」と言い放ち、彼らしさは健在。
１年生エースの流川楓との１ｏｎ１でダブルクラッチを決められるも「まだオレのオフェンスが１回残ってるじゃねーか」と食い下がり、不意打ちで得意のスリーポイントを決めて「３対２でオレの勝ち」と威張るなど、負けず嫌いな面も相変わらずだった。
しかし、一度挫折を経験した三井は、ただプライドが高いだけの男ではなく、２年のブランクを埋めようと人一倍努力を重ねたのは間違いない。山王工業戦で安西先生は「今の君は、もう十分あの頃を越えているよ」と三井を評す。精度の高いスリーポイント、知性的なプレイを称賛される、さらに素晴らしいプレイヤーへと進化を遂げた。
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