三条陸氏/稲田浩司氏による漫画『DRAGONQUEST-ダイの大冒険-』は、世界的な知名度を持つRPG『ドラゴンクエスト』の世界観を下地に描かれた作品だ。90年代のジャンプ黄金期には看板漫画のひとつとして人気を集め、現在再び制作されたテレビアニメは最終決戦に突入し新規ファンを夢中にさせている。
「友情」「努力」「勝利」と『週刊少年ジャンプ』の王道的展開が熱い同作だが、強敵とのバトル以外に「恋愛ドラマ」としても楽しめるのをご存じだろうか。メインキャラであるマァムを中心に、ポップ、メルル、ヒュンケル、エイミで三角関係の上をいく……つまりは“五角関係”をこじらせているからだ。この複雑な恋愛模様に、レオナのように「…急展開ね…燃えるわ…!」と感じたファンも多いかと思う。
今回は、そんな彼らが紡いだ“恋の五つ巴”を、印象に残ったシーンやセリフを交えながら紹介したい。
※ ※ ※
記事では、コミック『ダイの大冒険』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、漫画およびアニメをまだご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。
※ ※ ※
■「慈愛」を持つ少女が知らずにいた本当の「愛」
まずは、多くのファンをやきもきさせているポップとマァム。ふたりの出逢いは最悪で、不可抗力ながらポップが胸を触ってしまいマァムに殴られるところから始まる。その後も、彼らの関係性を語る上でマァムの鉄拳はお約束となっていく。
ダイと3人で冒険を始めて早々、溶岩に飲み込まれたヒュンケルを案じるマァムにポップは「好きだったのか…!?」と尋ねている。最初からポップはマァムを意識しており、この場面で彼女のヒュンケルへの思いを確かめようとしていたのだ。武闘家になるためマァムがパーティから離脱する際には、ポップは“好き”とは言えず「……すばらしい仲間」とごまかし逃げてしまったが、これが後に自分を苦しめることに繋がる。
最終決戦に差し掛かる頃、エイミからヒュンケルへの好意を告げられたマァムは、動揺して「ヒュンケルの事を男性として好きなのかどうか…私 わからないのよ…」と、あろうことかポップに相談してしまう。一途なポップの好意をマァム本人だけが気づいていないという構図だった。
そんなポップに最大の転機が訪れる。メルルのおかげで「勇気」の力を手に入れ、「マァムが好きなんだよおおっ!!!!」と叫んだ。こうして大破邪呪文・ミナカトールの発動を成功させ、シグマを倒したポップはもう一度マァムへと思いを伝えた。マァムはポップの好意を受け止め、今回の戦いで一つ分かったこと――それは自分が本当の愛を知らなかったことだと語る。また、この戦いで生き残ったら「私 きっと一人の男性としてあなたを見ていけるようになると思う」と約束するのだった。