■『UC』から悲しい過去をもつ生粋のジオン軍人
最後に紹介するのは『機動戦士ガンダムUC』で、主人公バナージ・リンクスに強く影響を与えたスベロア・ジンネマンだ。ジンネマンは「袖付き」と呼ばれる汎地球連邦組織(ネオ・ジオン)に所属し、偽装貨物船ガランシェールの船長を務めた。階級は大尉。
宇宙での戦闘の最中にバナージ・リンクスの乗るユニコーンガンダムは行動不能に陥り、ガランシェールがガンダムごと回収。ガランシェールはそのまま地球に降下し、バナージとジンネマンは行動をともにすることとなる。
意図的ではないとはいえ、バナージは宇宙での戦闘で一時的に世話になったガランシェール隊のギルボアを殺めており、回収されてからずっと落ち込んでいた。ジンネマンと2人で砂漠を渡ることになり、道すがらにジンネマンの想いや世界のあり方を聞く。ジンネマンに父性を感じたバナージは、自身の意志を再認識することとなる。
最終的にジンネマンは娘のように愛したマリーダを失うが、指導者ミネバのもとで最後まで戦い抜く。その姿はバナージだけではなく、多くの人に影響を与えたのだった。
ガンダムには主人公を成長させる「いいおじさん」が多数登場するが、敵であることが多く、それが戦争の悲しさをより際立たせる。ジオン軍ではないが『機動戦士ガンダム00』のセルゲイ・スミルノフも人気のあるおじさんキャラクターだろう。
ガンダムのキャラクターはそれぞれに個性があり、どのキャラクターに注目しても語り尽くせないほどの魅力がある。主人公やヒロインだけでなく、「いい味」を出しているキャラクターに目を向けて、いつもとは違う視点で楽しんでみたい。