■戦士の意地を思い出させた!隻腕のパイロット
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場するケリィ・レズナーもまた魅力的なキャラクターだった。一般人としての生活と、軍人としてのプライドの狭間で苦しむケリィ。その境遇に同情した人も多いのではないだろうか。
ケリィは元ジオン軍の大尉。一年戦争では凄腕のパイロットとして知られていたが、戦時中に左腕を失い退役、現在は月面都市フォン・ブラウンでジャンク屋を営んでいるという人物だ。
ガンダム試作1号機を大破させ、塞ぎ込んでいた主人公・コウはケリィと出会い、一時的に彼の自宅に住まわせてもらうことになる。当初はジャンク屋稼業を手伝っているだけだったが、ケリィが元ジオン軍のパイロットで、修復中のモビルアーマーのヴァル・ヴァロで復隊を考えていることを知る。ケリィの思いや熱量に影響を受けたコウは、塞ぎ込んでいた自分と決別し、敵と知りつつもヴァル・ヴァロの修理を完了させた。
その後、ケリィの乗るヴァル・ヴァロとコウの乗るガンダム試作1号機Fb(フルバーニアン)は決闘をおこない、激戦の末にコウが勝利を収めている。
ヴァル・ヴァロには脱出装置が搭載されておらず、ケリィは機体と運命をともにした。ケリィの覚悟は強く、「死ぬときは戦いの中で」と決めていたと考えられる。1991年のOVAリリースから30年以上がたっだが、見返すたびにクオリティの高さに驚かされる同作。大人になって改めて見返し、ケリィの生き様に感動したという人も少なくないのではないだろうか。