少年漫画の人気をけん引する『週刊少年ジャンプ』では、アニメ化され社会現象にまでなるほどの人気作品が数多く生まれてきた。
7月25日発売号から最終章へ突入することが発表された『ONE PIECE』、作者である冨樫義博氏がツイッターアカウントを開設したことで連載再開が期待される『HUNTER×HUNTER』など、今後物語がどのような展開を迎えるか気になる作品ばかりだが、そんなジャンプ漫画ではコミックスの表紙で先の物語を暗示する伏線が張られていることも少なくはない。そこで今回は、作者の手腕や遊び心、かなり先の展開を見据えていた計画性が光る、表紙に隠された伏線の数々を紹介しよう。
※本稿では『HUNTER×HUNTER』『約束のネバーランド』『チェンソーマン』の一部内容を含んでおります。漫画およびアニメをご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。
■立ち絵に込められた「内通者」の存在
まずは「連載再開時期は未定」とされながらも、連日のように執筆中と思われる画像がツイッターに投稿されている冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』から。来るべき連載再開に向けて、刊行中のコミックスを読み返しているファンも多いと思われるが、コミックス第30巻の表紙が、言葉遊びとイラストをうまく使ったものだった。
30巻は「アリ編」がクライマックスを迎え「選挙編」がスタートとなる巻。表紙にはこの巻から登場したハンター協会の最高幹部「十二支ん」が描かれているが、この中に今後の展開で現れる“裏切り者”がすでに暗示されていたことが話題となった。
この巻の表紙はゴンの父親・ジンをはじめとする「十二支ん」12人が後ろを向いて立っているというものだったが、この中でジンと敵対するパリストンとサイユウの二人だけが手を後ろで組んで立っていた。つまり「裏で手を組んでいる」という意味合いが込められていたのだ。33巻のエピソードでクラピカの能力により「サイユウ」が内通者であることが暴かれるが、30巻の何気ない立ち絵からそのことに気がついた読者は誰もいなかったのではないだろうか。
冨樫氏による言葉遊びとイラストをうまく使った伏線回収。同作は現段階で3年以上にわたる休載が続いているが、刊行済みのコミックスを読み返し、何か他にも重大な秘密が隠されていないか目を凝らして探したくなってしまう。