『ドラゴンボール』ベジータに『刃牙』範馬勇次郎まで…少年漫画の「最強父」が息子に見せた“大きな愛”「親とは常にこうしてしまうものなのだ」の画像
『ドラゴンボール』ベジータに『刃牙』範馬勇次郎まで…少年漫画の「最強父」が息子に見せた“大きな愛”「親とは常にこうしてしまうものなのだ」の画像

 6月19日は「父の日」。漫画やアニメの主人公に時代の風潮が反映されるよう、作中における父親像にもさまざまな変化が見られる。昭和ならば『巨人の星』の星一徹など頑固おやじが多かった気がするが、平成になると『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしのような妻子への深い愛情を見せる家庭的な父親キャラも定番になっていった。

 もちろん、そんな彼らの共通点に子どもへの強い思いがあげられるだろう。成長途中の息子の前に立ちはだかる強い父親。その背中は大きく頼もしくあたたかなものだった。そこで今回は、バトル漫画の名物「最強父キャラ」にスポットをあて、彼らが息子に見せた感動シーンを振り返りたい。

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 記事では『ドラゴンボール』『ダイの大冒険』『グラップラー刃牙』の一部内容が含まれています。ストーリーの全貌を解説するのが本記事の主目的ではありませんが、漫画およびアニメをまだご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。

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■俺様な王子が息子に見せた意外過ぎた父親の顔

 まずは、原作者である鳥山明氏も大絶賛のシリーズ最新作映画『ドラゴンボール超スーパーヒーロー』がヒット中の『ドラゴンボール』から。本作で「最強の父親」といえば多くの読者は主人公・孫悟空を思い浮かべるかもしれないが、今回はトランクスの父親であるベジータにスポットを当ててみたい。

 ベジータは宇宙最強クラスの戦闘民族サイヤ人の王子。生まれたときから高い戦闘力を誇り、プライドも非常に高かったが、自身が見下していた悟空(カカロット)に敗北してから大きな転機が何度も訪れる。その最たるものがブルマとの関係だろう。ナメック星から生き延びたベジータは地球に戻りブルマの家に居候をし、2人の間には長男・トランクスが生まれた。

 その後、未来のトランクスと「精神と時の部屋」で修行したベジータは、セルとの戦いで再び大きな変化を見せることになる。目の前でトランクスが殺され激高したのだ。冷静さを欠いたベジータはセルに返り討ちにあうも悟飯に救われる。その際、腕を負傷した悟飯に対しベジータは「す…すまなかったな…悟飯」と謝ったのだ。「あのガキ」呼ばわりしかしていなかった当初に比べたら驚くべき変化である。

 セルを倒した後も、ベジータの良き父親ぶりは加速を見せる。特に魔人ブウとの戦いでは、「赤ん坊の頃からいちども抱いてやったことがなかったな……」と幼いトランクスを不器用に抱きしめるベジータ。さらに「ブルマを…ママを大切にしろよ…………」と家族への思いを言い残すと、魔人ブウもろとも自爆し散っていくのである。

 作品内でも抜きん出て「やさしいパパ」となったベジータ。未来から来たトランクスにも見てほしい姿だった。

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