■死亡フラグはセリフだけじゃない

 ラストは7月25日発売号の『週刊少年ジャンプ』から最終章に突入することが発表されている尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』から。連載期間の長さを考えると死亡するキャラクターの少ない同作だが、死亡フラグはあった。

 それはコミックス18巻で、ルフィの兄・エースが自身の生命力を表すビブルカードをアラバスタ王国で再会したルフィに託したときのこと。当時、これが彼の死亡フラグだと察した読者はどれほどいただろうか。

 53巻ではスリラーバークでローラがビブルカードの意味を説明するシーンがあるが、持ち主が死亡するとカードは消滅するという意味が提示されたとき、「そんな設定があるなら使わないわけがないだろう」と嫌な気配を感じた読者は増えたはずだ。

 実際にエースの明確な死のシーンは、ビブルカードが燃え、ルフィの「エース……?」というセリフを挟んだ後に「フッ……!!」とカードが燃え尽き消滅するというかたちで描かれた。描写こそどこかオシャレさを感じるが、『ONE PIECE』の(過去シーンではない)作中で死人が出たのはエースが初。その衝撃は計り知れないものだった。セリフだけでなく、作中で自身の命の灯火を表すものを他者に託すという行為もまた死亡フラグと言えるだろう。

『ジャンプ』にも多く登場する死亡フラグの数々。その死はどれも劇的で物語を大きく動かしたが、現在連載中の作品にもそうしたフラグが立っていると思われるキャラクターが何人か思い当たる。できればそのような最後は見たくないが、はたしてどのような未来が待っているのだろうか。

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