■かませ犬キャラ扱いを経て、誰よりも愛されるキャラに

 続いては、すっかりかませ犬キャラが板についてしまった鳥山明氏の『ドラゴンボール』からヤムチャ。

 もはや説明不要ではあるが、彼は初登場時にはなかなかの強敵であったものの、いつの間にか活躍が減り雑魚キャラとして目立たない存在になってしまった。

 代表的なのはやはり、サイヤ人編でのサイバイマンとの戦いのシーンだろう。「クリリンはいちどドラゴンボールで生きかえっている もし万一のことが起こってしまえば にどと生きかえれない」とたんかを切ってクリリンを止め前に出たヤムチャだが、読者のイヤ〜な予感の通り、この直後、サイバイマンの自爆に巻き込まれてあっけなくやられてしまう。

 このほかにも「きえろ ぶっとばされんうちにな」「きさまのへらず口もこれでにどときけなくなるぜ」「あっというまに白目をむかせてやろう」「のこりの4匹もこのオレひとりでかたづけてやるぜ…」と、ヤムチャにはつい口に出してしまうような小物感あふれるセリフが盛りだくさん。そのセリフを吐いてしまったばかりに、不幸な目に遭うといったパターンがおなじみになってしまった。

 とはいえ初期から登場する愛すべきキャラクターでもあるヤムチャ。2016年に「少年ジャンプ+」では少年がヤムチャに転生し、猛烈な修行で未来を変える物語『ドラゴンボール外伝 転生したらヤムチャだった件』(ドラゴン画廊・リー)も公開。読者全員がヤムチャを好きになってしまうような魅力的な展開が描かれた。

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