■「身長」がほしい

 天下一武道会で準優勝を獲得したあと、祖父の形見であるドラゴンボールを求め、再び旅に出た孫悟空。さまざまなバトルやハプニングが起こる中、ドラゴンボールをめぐって強敵が現れる。それが世界最強と謳われるレッドリボン軍だ。

 道中、悟空は聖地カリンに住む少年ウパと出会うが、ウパの父はレッドリボン軍に雇われた世界一の殺し屋・桃白白によって殺されてしまう。これに怒った悟空は、ドラゴンボールでウパの父を生き返らせることを約束。カリン様との修行を経てパワーアップした悟空は桃白白にリベンジを果たし、1人でレッドリボン軍の総本部に乗りこんだ。

 あっという間に本部に壊滅的被害を与えた悟空。敗北を覚悟したブラック補佐がやむなく撤退を進言すると、レッドリボン軍のレッド総帥は「あとちょっとでわたしの背がのびたのに……!!」と漏らす。

 さらにレッド総帥は「支配者はかっこよくなければいかん…」「チビではギャルにももてん…!」とつぶやき、ドラゴンボールを集めて自身のコンプレックスである「身長」を伸ばそうとしていたことが発覚する。

 大勢の兵を犠牲にして集めていたドラゴンボールで、あまりにもバカバカしい願いをかなえようとしていたことを知り、ブラック補佐は呆れかえる。そのあと「きさまに総帥の資格はない…」とレッド総帥の額を銃で撃ち抜いて殺害した……。

 レッドリボン軍の総帥たるものが「身長」に固執した挙げ句、部下に殺されるという事実に、なんとも言えない気持ちになってしまう。

 ちなみに、アニメ映画『ドラゴンボール超 ブロリー』では、あのフリーザも自分の身長を5センチ伸ばしたくてドラゴンボールを集めていた。どれほどの強さやお金、権力があっても、男子にとって「身長」はかけがえのないものなのかもしれない。


 子どもの頃に『ドラゴンボール』を読んだとき、「自分ならどんなことを神龍に願うか」という話題で盛り上がった人は多いはず。あらためて名作を読み返しながら「自分だったら……」と思いを巡らせてしまった。大人になった今も、そんな妄想をかき立ててくれる『ドラゴンボール』は「やはり名作だ」と思う今日この頃である。

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