■『ジョジョ』の世界にたびたび登場する人のマネをする能力者たち
そして、『ジョジョ』の世界に意外と(?)多く登場するのが、他者を「模倣する」能力。
第3部ではラバーソウルの「イエローテンパランス」、オインゴの「クヌム神」、第4部の間田敏和の「サーフィス」、そしてこれがスタンド能力かはハッキリしていないが、自称宇宙人である支倉未起隆の「アース・ウインド・アンド・ファイヤー」も挙げられる。
「イエローテンパランス」はスライムのようなスタンドで、相手に同化することができる。作中では花京院に成りすまし、承太郎の指に食いつき吸収するなどの善戦を見せた。スタンドは火で焼けば広がり、凍らせればさらに人体に食い込むなど、ほぼ弱点はないようだ。
一方で、「クヌム神」はマネする能力を持つスタンドの中でも最弱かもしれない。相手の見た目や声しかマネできない上、それ自体に攻撃力を持たないので中身は本人のまま。服装すらも変えられないのは、ハズレスタンドと判を押されてもしかたない。
「サーフィス」は、スタンド同士での戦いがない世の中なら羨ましい能力かもしれない。人形に触れた者の姿やしぐさ、指紋、声などを全てコピーした人形を作ることができ、本人に同じ動きをさせることもできる。中身が木製であるので壊れるときは壊れてしまう点はもったいないが……。
「アース・ウインド・アンド・ファイヤー」も自分の体や身につけているものを別のものに変身させることができ、こちらは無機物への変身が可能な能力だ。構造が複雑なものや自分以上の力を持つものには変身できないという制約があるが、攻撃的ではない未起隆自身の性格にも合っているような気がする。なかなか戦闘向きな能力ではないが、無機物に変身できるのはなんとも夢のある話。作中ではサイコロやアイスクリームになって読者を癒したキャラ。彼が本当に宇宙人である可能性もあり、この能力がスタンド能力だったのかどうかは定かではない。
これらの模倣スタンドも、使用者の頭の良さが大いに影響しそうな能力だが、戦闘という場合においては軍配は攻撃性も兼ね備えたイエロー・テンパランスに上がりそうだ。
類似性のあるスタンドだけでも、その強さは千差万別。うまく使えるかは、使用者の頭の良さ次第といったところだろう。