■過去を持たない霞柱・時透無一郎

 次にご紹介するのも鬼殺隊の一柱、「霞柱」の時透無一郎(ときとう むいちろう)である。年齢は14歳と現柱最年少だが、驚くべきは刀を持ってわずか2か月で柱へとスピード昇格した点だ。主人公の竈門炭治郎は、鱗滝左近次のもとで2年の過酷な修行を経て鬼殺隊に入ったことを思い返せば、無一郎がどれだけ特異な存在なのかが分かるだろう。

 どこかうつろな視線を漂わせる無一郎の華奢な体は、屈強な剣士のイメージとはかけ離れているが、彼の潜在能力の高さは産屋敷あまねが直々にスカウトに赴いたことが裏づけている気がする。それは無一郎が「始まりの呼吸」の剣士の子孫であることも大きく影響しているに違いない。

 そして無一郎も悲鳴嶼行冥と同様、鬼殺隊としての訓練を受ける前に単独で鬼を撃退している。

 そんな飛びぬけた才能を持ち、優秀な先祖の血を引く無一郎であるが、その過去は決して平穏なものではなかった。鬼によって最後の家族を失い、心身ともに大きな傷を負った無一郎は記憶喪失に。のちに記憶を取り戻した無一郎の目には力強さが戻り、さらに強力な剣士として成長していくのだが、記憶喪失の段階で柱にまでなっているのだから、まぎれもなく天才と言っていいだろう。

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