『タッチ』上杉達也、新田明男も一目置く“もう一人の大投手” 人間味あふれる西村勇の魅力とは?の画像
『タッチ』(小学館)第13巻・書影より

週刊少年サンデー』(小学館)にて、1981年から86年まで連載されたあだち充氏による野球漫画『タッチ』。主人公・上杉達也が、双子の弟・和也の死をきっかけに甲子園を目指すという物語だ。高校野球を中心に描かれたストーリーながら、達也と和也の幼なじみのヒロイン・浅倉南との恋物語も重要な位置を占めており、和也が亡くなったあと、達也と南の関係性がどうなっていくのか、ハラハラしながら見守ったファンも多いことだろう。

 そのヒロインの南ちゃんはとにかくモテる。達也&和也を筆頭に南の母校である明青学園の生徒だけでなく、ライバル校の主力選手までトリコにする魅力がある。そんな南ちゃんにメロメロになった男の一人が、勢南高校の西村勇である。

 西村は、明青学園と同地区にある勢南高校のエース。超高校級スラッガーの新田明男を擁する須見工業高校にこそ勝てなかったが、同地区の注目度ナンバーワン投手は彼だった。

 つねに自信過剰ぎみで、気性の激しいライバル・西村。いけ好かないヤツと思った人もいるかもしれないが、個人的には彼の人間味あふれる部分に引かれてしまう。そこで本記事では、西村勇の魅力の部分について振り返ってみたい。

■生まれた世代が悪かった? 非凡な頭脳派投手

 勢南の西村は、切れ味鋭いカーブを得意とする変化球投手。ピッチングの駆け引きに長けており、ふだんの荒々しい性格や態度からは意外に感じるかもしれないが、頭脳的な投球を行う。

 その実力は高校生の中ではずば抜けており、西村が高校2年で迎えた春季大会ではノーヒットノーランを達成。ちなみにバッターとしても非凡な才能の持ち主で、4番に座ってホームランを放っている。

 甲子園で二度の準優勝、同世代の高校野球界の最高の四番打者と言われる須見工業高校・新田明男に「おまえの変化球は本物だよ」といわしめたほどの逸材。地区予選で西村が、新田さえ敬遠できていれば一度くらいは甲子園に出られたのでは……という話もあったほどだ。それでも逃げずに新田との勝負にこだわってしまうあたりに、西村という人間の魅力を感じてしまう。

 ちなみに高校最後の夏も甲子園出場は果たせなかった西村だが、漫画の“その後”が描かれたアニメ『タッチ Miss Lonely Yesterday あれから、君は…』の中ではプロ野球選手となり、新人王を獲得する活躍を見せていた。そのことからも、いかにあの世代のレベルが高かったのかを察することができるだろう。

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