■「あの大歓声が聞こえなかったのか?」
湘北として初の格上チームとの対戦でもあった翔陽戦。その翔陽戦で桜木は試合で初めてダンクシュートを決めたものの、チャージングを取られノーカウントになり退場となってしまった。しかし退場の際、会場は桜木コールが湧き起こりこの日一番の大歓声が桜木に贈られていた。
翌朝、試合の興奮が冷めなかったのか早起きしてしまった桜木は、水戸を連れ体育館へ。赤木晴子にバスケ部加入に誘われバスケを始めたときのことから、翔陽との試合のことをぼんやり回想し、ふと思い立ってダンクを決めてみる。
静かなコートで試合終了直前のように豪快にダンクを決めた桜木は、水戸に聞く。「洋平……きのうは やっぱりオレ…… けっこうスゴかった……?」それに対する水戸の答えは、「あの大歓声がきこえなかったのか?」というものだった。
その一言で桜木は、これまで積み重ねてきた自分の成長を実感して、素直に喜ぶのだった。バスケットにのめりこんでいく桜木を茶化しつつも、陰ながら見守ってきた水戸だからこそ言えるウィットに富んだ褒め言葉。多くを語らずとも分かり合える。そんな二人の関係性と水戸のスマートさが際立った名言だった。