『はじめの一歩』木村のTKO負けに『ヒカルの碁』の敗北エンドも! 涙無くして読めないベストバウト…切なすぎた少年漫画の“負け試合”3選の画像
画像は講談社コミックス『はじめの一歩』第32巻(講談社)

 少年誌に連載されるスポーツ漫画は、努力を積み重ね、友情を育んで勝利する心を熱くさせる展開が魅力。どの試合にもキャラクターの葛藤や並々ならぬ思いが反映され、ドラマティックにストーリーが進む。

 しかしドラマ性を語るなら、負け試合を忘れてはいけない。勝利した試合と同じぐらい負けた試合も感動的で、選手たちの肩を落とした姿は涙無くして読めないものばかりだ。そこで今回は勝負の世界を描いた少年漫画から「切なかった負け試合」を3つ紹介する。いずれも作中屈指の名試合なので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。

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 記事では『はじめの一歩』『ヒカルの碁』『ハイキュー!!』についてのネタバレを含んでいます。未読の方はご注意ください。

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■死刑執行ならず? 死神に立ち向かった最強の挑戦者

 まず紹介するのは、森川ジョージ氏による人気ボクシング漫画『はじめの一歩』より、木村達也が間柴了に挑戦した日本ジュニアライト級タイトルマッチ。

 主人公・幕之内一歩の活躍をメインにした同作だが、登場する脇役たちがいずれも魅力的で、彼らの試合も主人公と同じぐらい濃密に描かれる。今回ピックアップした試合は、一歩と同じ鴨川ジムの先輩ボクサーである木村達也のタイトルマッチ。それまでどこかチャラチャラしていた木村が必死の練習で必殺ブローを身につけて、圧倒的な強さを持つ間柴へ果敢に立ち向かった姿が、本当にかっこよい。

 なかなかチャンスが巡ってこなかった木村に、ようやくタイトルマッチのチャンスが訪れる。しかし、日本ジュニアライト級チャンピオンは、泣く子も黙る間柴了。内心では間柴に恐怖を感じながらも、木村は不退転の思いで対戦を決意する。血のにじむような練習を重ねた木村は、必殺ブロー「ドラゴンフィッシュブロー」を用意して試合に臨む。

 間柴との戦いに予想以上の苦戦を強いられるが、作戦が成功し、終盤に必殺ブローが炸裂。死神と恐れられる間柴に「最強の挑戦者」と認めさせ、KO寸前まで追い詰める。しかし、木村自身のダメージも限界を超えていた。あと一歩というところで立ったまま気を失い、TKO負けを喫してしまうのだった。

 打たれることを覚悟し、長期戦の作戦を成功させた根性と試合運びは見事だった。「負けたら引退」を宣言して試合に臨んだ木村。そして最後の瞬間までカウンターを放とうとした姿勢は、涙なしでは見られない。ファンの間ではこの試合をベストバウトに挙げる人も多く、2009年に連載20周年のタイミングで行われた読者投票企画ではこの試合が第4位に上がっていた。「負け試合」を語る上では欠かせない一戦だろう。

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