『月刊少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)にて、2001年から10年まで連載された荒川弘氏による漫画『鋼の錬金術師』。錬金術師の少年、エドワード・エルリックと、その弟のアルフォンスが、失った肉体を取り戻すために必要な「賢者の石」を探して旅する物語だ。過去にアニメやゲーム化もされており、2022年5月と6月にはHey!Say!JUMPの山田涼介(28)主演の実写映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』が公開予定。連載開始から20年以上が経過した現在も根強いファンが多い、人気作品である。
その『鋼の錬金術師』は、エドを始めとする錬金術師たちの活躍が描かれたバトルアクション漫画。また公式では“ダークファンタジー”と謳われていたように、劇中には残酷かつショッキングな描写も多数存在する。そこで今回は筆者が初めて読んだときに戦慄した、衝撃シーンをご紹介したい。
※記事内にはコミック『鋼の錬金術師』に関する内容が含まれています。原作未読でネタバレが気になる方はご注意ください。
■追い詰められた国家錬金術師・ショウ・タッカーの恐ろしすぎる所業
もはや『鋼の錬金術師』を知らない人ですら「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」というセリフはどこかで聞いたことがあるのではないだろうか。その元ネタたる発言者は「綴命(ていめい)の錬金術師」と呼ばれるショウ・タッカーだ。
タッカーは合成獣(キメラ)の研究を行っており、2年前に人語を話す合成獣を錬成したことで国家錬金術師の資格を得る。エドたちは生体錬成の資料を求めてタッカーの自宅を訪問し、エドとアルはそこで出会ったタッカーの娘ニーナや、愛犬のアレキサンダーと仲良くなっていった。
その裏側で研究成果を出さねば国家錬金術師としての資格を喪失するという状況に追い詰められていたタッカー。ある日、エドとアルがタッカー邸を訪れると、そこには人語を理解するという1体の合成獣がいた。
タッカーの教えた「エドワード」という単語を繰り返し発した合成獣は、最後に「お」「にい」「ちゃ」と発言。それを聞いたエドは、タッカーが国家錬金術師として認められた人語を話す合成獣を錬成したのと、奥さんがいなくなったのがどちらも2年前であることを問いただす。
続けざまに「ニーナとアレキサンダーどこに行った?」と質問し、それに対するタッカーの返答が、冒頭でも紹介した「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」である。
つまり国家錬金術師となるために妻を犠牲にして、さらに査定をパスするために我が娘まで合成獣にするという非道な行為を行ったショウ・タッカー。初めてこのエピソードを読んだ時、あまりのおぞましさに鳥肌が立ったほどだ。