■暴食の名を持つグラトニーが仲間に食われる悲しき最期
最後に紹介したいのは、敵であるホムンクルスのグラトニーに関するエピソード。見た目はずんぐりとした体型で、幼い口調や思考が特徴的なキャラクター。仲間のラストを慕っていたのも印象的だ。
グラトニーは七つの大罪の“暴食”を司り、あらゆるものを食べてしまう能力を持つ。敵側のキャラなので人を食べる場面もたびたび描かれてきたが、ふだんは温厚でどこか憎めない部分もあるキャラクターだった。
そんなグラトニーは、物語終盤では“傲慢”を司るプライドと一緒に行動。エドたちとの激戦を経て消耗したプライドは、グラトニーに向けて影のような触手を伸ばす。それを見たグラトニーは「やだ…」「いやだよプライド」と恐怖に怯えたが、プライドの影は無情にもグラトニーの体を真っ二つに切断。そのまま体を食らって吸収してしまう。
そのときグラトニーは「いやだ、たべないで…」「いたいよぅ」などと涙ながらに懇願する。最後に「たすけて…ラスト…」と亡きラストに助けを求めた場面は、敵ながら胸が痛くなるシーンだった。
2022年は実写映画化もあり、さまざまな方面で話題を呼んでいる『鋼の錬金術師』。その原作コミックの面白さは折り紙つきだ。もし未読の方や、内容を忘れてしまったという方がいるなら、この機会に全巻読破することをオススメしたい。