■かつての“白髪鬼”が顔を覗かせた瞬間【湘北高校:安西光義監督】

「ホッホッホッ」と穏やかに笑い、たぷんとしたお腹がチャーミングな湘北高校の安西先生。「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」「断固たる決意が必要なんだ!!」「君たちは強い」など、今でも安西先生の数々の名言が頭に浮かぶのは筆者だけじゃないはず。

 その安西先生と言えば、「白髪仏(ホワイトヘアードブッダ)」と呼ばれるほど、仏のように穏やかな心の持ち主。花道が「オヤジ」と呼びながらアゴを“タプタプ”したり、試合中のルーズボールを取りに行く際にお腹にダイブしてクッションの代わりにしても怒らない温厚な人物である。

 しかし、かつて安西先生は「白髪鬼(ホワイトヘアードデビル)」と呼ばれたスパルタ監督だったことを忘れてはいけない。その片鱗を見せたのが、作品の終盤「湘北vs山王戦」でのこと。

 花道に途中交代を告げた安西先生が座ってプレイを見るよう促すも、納得のいかない花道は怒りに震えていた。その花道に対し、安西先生は「聞こえんのか?」「あ?」と、髪を逆立てて言い放ったキレ姿は印象深い。これが世に言う“ギャップ”の極みだろう。

 その安西先生のあまりの迫力に、花道と彩子が見間違いかと目をこすったのも無理はないシーンだった。

 作品を代表する名監督たちのキレた場面をご紹介したが、どれも「選手たちを勝たせてあげたい」という熱い想いや、バスケに対する強い情熱があるからこそ飛び出した、人間味あふれるシーンとも言える。「こんな監督についていきたい!」と思わせるような恩師に恵まれたら、『SLAM DUNK』の花道や三井、魚住、南のように、人は変わることができるのかもしれない。

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