2022年秋、約25年の時を経て映画化される、井上雄彦氏の『SLAM DUNK(スラムダンク)』。90年代の『週刊少年ジャンプ』(集英社)を代表するバスケ漫画の金字塔で、世代を超えて語り継がれている名作だ。
不良少年だった桜木花道がバスケットマンとして成長していく過程が軸となる物語。そんなバスケ素人の花道がわずか4か月で注目される選手になれたのは、本人のポテンシャルの高さはもちろんだが、湘北高校の監督である安西先生の存在があったからこそ。そう、『SLAM DUNK』では、主要チームの監督たちもドラマチックな物語を彩る、魅力的なバイプレーヤーなのだ。
しかし、ふだんは立派な指導者として選手を導く監督たちも、ひとたび試合が始まるとアツくなり、ときには“キレた”と感じる場面も……。そこで今回は個人的に印象に残っている、『SLAM DUNK』きっての名将3人がキレた瞬間を厳選してお届けしたい。
■試合展開で本性があらわに!?【海南大附属高校:高頭力監督】
16年連続インターハイ出場を誇る海南大附属高校の高頭監督は、スマートというよりは豪快でおおらかな印象だ。
パタパタと扇子を仰ぎながら涼しい顔で試合を見守り、花道の無礼な態度にも腹を立てず、それどころか“バスケ歴3か月の素人”という本質を即座に見抜いて策を立ててきた智将。「湘北vs海南大附属戦」の試合中、安西先生に「さすが高頭くん…」と言わしめた手腕からも優れた監督ということが分かる。
しかし、自らの策がハマり、リードしている時は温厚な高頭監督だが、追いつかれてくると途端に不機嫌になるクセが……。事実、流川が連続シュートを決めて海南大附属を猛追すると、青筋を立てて「あと5秒あるぞ!! もう1本取れえっ!!!」とこれまでの穏やかな雰囲気から一変して渾身の檄。さらに同点にされた瞬間には、持っていた扇子を真っ二つにへし折っていた。
バスケ部だった自分の経験上、試合の最中まで冷静な監督はほぼいなかった。どちらかといえば、監督の怒号に押されて走ったものだ。だからこそ高頭監督のような感情の動きはリアルに感じられ、そのあたりも『SLAM DUNK』の醍醐味と言えるのだろう。