多くのファミコンキッズにRPGの面白さを教えてくれた国民的タイトル『ドラゴンクエスト』(エニックス)。レベルを上げて装備を強化し、必要なアイテムをそろえながら、主人公の冒険を“ロールプレイ”するという画期的なゲーム内容で、新しい体験を僕らにもたらしてくれました。その後、30年以上も愛され続ける人気シリーズとなり、最新作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』の発売を楽しみにしているファンも多いのではないでしょうか。
しかし過去の思い出を遡るとその面白さだけでなく、ときには絶望を感じるような忌まわしき記憶もチラホラ。そこで今回は『ドラクエ』シリーズの中でも「ロト三部作」と呼ばれるファミコン時代の初代『ドラクエ1』から『ドラクエ3』で体験した、忘れられないトラウマをえぐって……もとい、振り返ってみたいと思います。
■もはや殿堂入り!?「じゅもんがちがいます」「おきのどくですが……」
……とその前に、ファミコン時代の『ドラクエ』の絶望というテーマで、すでに語り尽くされたものが『ドラクエ1』と『2』の「復活の呪文(ふっかつのじゅもん)」を間違えた瞬間と、『ドラクエ3』の冒険の書が消えた瞬間でしょう。
どんなつらいエピソードを紹介しようとも、このとき味わった絶望には絶対にかないません。でも触れないと「分かってねぇなぁ」と言われてしまうこと必至なので、もうこれは殿堂入りということにします。下手をすると数時間、数十時間分の苦労が水の泡となってしまう悲しい瞬間なので、仕方ないですよね。
ちなみに私は『ドラクエ2』の長すぎる復活の呪文を入力して「じゅもんがちがいます」が出てしまったときは、間違えやすい“ぱ”と“ば”、“ぽ”と“ぼ”なんかを入れ替えて懸命に悪あがき。『ドラクエ3』のセーブデータが消えたときは、しばらく何もできなくなるほど打ちひしがれました……。
■「会心の一撃」が避けられるってマジ?
復活の呪文の間違い以外、「『ドラクエ1』ってトラウマ要素少なくない?」と思うかもしれません。ですが思い返せばラスボスの竜王はともかく、終盤に登場する「かげのきし」や「スターキメラ」「ドラゴン」などにも相当泣かされてきました。
やけに痛い、痛すぎるスターキメラやドラゴンの炎。妙にこちらの攻撃を避けまくる、かげのきし。そして極めつけは、ファミコン版の『ドラクエ1』では、敵が「かいしんのいちげき」を避けるケースまであるということ。
ギリギリの攻防の中、起死回生の一撃が飛び出したのに無情にも回避され、反撃でやられた瞬間は絶望以外の何ものでもありません。誰にも頼れない1対1のガチバトルだからこそ、一度のコマンドの選択に重みがあります。そんな駆け引きの厳しさこそが、『ドラクエ1』の真骨頂だったのかもしれません。