アニメを見ていると、製作陣の気合の入った作画によるおいしそうな料理がたびたび登場する。湯気のたったあたたかい料理や、トロトロの卵やチーズなどの臨場感のある描写はいわゆる「ジブリ飯」が得意とするところ。ラピュタパンや『千と千尋の神隠し』の千尋のお父さんが食べていた中華料理など、アニメを見ていて一度は食べてみたいと感じるものも少なくないだろう。
しかし、物語の世界においても「何を食べるかではなく誰と食べるか」が重要で、画面の向こうの料理がおいしそうに見えるのは作画のうまさだけでなく、キャラの組み合わせやシチュエーションが関係しているのは言うまでもない。また食べたキャラに、どんな心境の変化が訪れたのかも重要だろう。
そこで今回は、アニメに登場した料理場面の名シーンをいくつか振り返りたい。これを読めば、さっそくキャラのマネをして食べたくなるかも?
■空前のキャンプブームを作ったカップ麺
まずはキャンプブームの火つけ役ともいわれるアニメ『ゆるキャン△』から。同作は山梨県周辺に住む女子高生たちがゆるくキャンプを楽しむ物語で、初心者にも簡単に作れる料理が多く登場する。
その記念すべき第1話では、主人公の志摩リンと各務原なでしこが初めて出会い、夜にたき火を囲みながらカレー味のカップ麺を食べるシーンがある。お腹が空いていたなでしこは、初めて見るキャンプ道具に目を輝かせながら、アツアツのカップ麺をなんともおいしそうに頬張るのだ。
いつも食べている料理でも、特殊な環境下で食べるとおいしさは格別だろう。また麺から出た湯気や、ハフハフと頬張った後に口から出る白い息が、なおさら外で食べるご飯のおいしさを演出している。カップ麺を料理と呼ぶかどうかはさておき、キャンプ道具で湯を沸かす工程のワクワク感や、初めて会った人に親切にされて食べる料理は、心の中にジーンと染み込みそう。同作を見てキャンプ趣味に目覚め、実際に山でカップ麺を食べたという人も少なくないのではないだろうか。