■自ら地獄を選んだ戸愚呂弟の最後
最後は冨樫義博氏による『幽☆遊☆白書』の戸愚呂弟の悲しい選択を紹介したい。作品中盤のボスであった彼は、幽助の120%の力の霊丸によって肉体が崩壊し死亡した。
本来は軽い地獄で済むはずだった戸愚呂弟だが、彼は自らの意思で「冥獄界」へと赴き、永遠ともいえる苦痛を味わった後に完全に消滅する道を望んだ。コエンマはこの罰について「あらゆる苦痛を一万年かけて受け続け、それを一万回繰り返す。その先にあるのは完全な『無』」と表現。かなり過酷な罰だというのは想像に難くない。
冥獄界へ続く道で若い姿の幻海と出会った戸愚呂弟は幽助のことを幻海に託し、「世話ばかりかけちまったな……」と別れのあいさつをする。不器用ながら優しい人間性のかいま見える戸愚呂弟の最期は、号泣必至の名シーンだ。
彼らが迎えた結末は、どれも絶望してしまいそうな途方もないものばかり。考えようによっては死ぬよりも何倍もツラい罰を受けることになった彼らの姿はどれも一度見たら忘れられないものばかりだ。連載後も彼らがファンに愛され続けるのは、作中の強さに見合う強烈なラストシーンのインパクトによるためでもあるのだろう。