『週刊少年ジャンプ』の花形といえば、やはりバトル漫画。主人公や仲間たちが敵と戦う中で、どう倒せばいいのか分からないほどの強敵が登場することもしばしばある。バトルの結末としては、和解か敵味方どちらかの死というパターンが多いが、時には死よりも残酷な結末を迎えるキャラクターもいた。
たとえば、荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』第2部「戦闘潮流」のラスボス・カーズは物語のクライマックスで究極生命体となり、もはや攻略法はないかに思えた。しかし主人公のジョセフが無意識に掲げた赤石によって火山岩に押し上げられ、カーズは宇宙空間に放たれてしまった。
不老不死ゆえに死ぬこともできず、鉱物と生物の中間の物体となって永久的に宇宙を漂うこととなったカーズ。「そのうちカーズは考えるのをやめた」は『ジョジョ』ファンならずとも知っている人の多い、有名なフレーズだろう。
カーズのほかにも、死ぬよりもヒドい結末を迎えた『ジャンプ』の敵キャラは意外と多い。今回はそんなキャラたちの悲惨な最期を紹介したい。
■永遠に死にきれない強敵たち
同じく『ジョジョ』からは第5部「黄金の風」のラスボスであるディアボロも悲惨な結末を迎えている。主人公・ジョルノが矢に貫かれて身につけた「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の能力は「攻撃してくる動作や意思の力を“ゼロ”に戻す」というもの。複雑すぎるこのスタンドだが、要するにそれまで最強だったディアボロの攻撃が「なかったこと」にされ、おまけにレクイエムの攻撃により「死すらもなかったこと」になってしまうのだった。ディアボロは死ぬという結末に永遠に辿りつけず、無限に「死」までの過程だけを繰り返し味わい続けることになった。
「終わりのないのが『終わり』」という「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の能力。これまでの自分の行いがきっかけとなってもたらされる死の苦しみと恐怖を味わい続けるディアボロの悲痛な叫びはなんともリアルだった。なお、アニメの後期オープニングでは端的にこのスタンド能力が描かれている。
久保帯人氏による『BLEACH』の破面編に登場する、科学者ザエルアポロ・グランツも絶望を抱いたまま退場することとなったキャラクターだ。
味方サイドに対し鬼畜ともいえる攻撃の数々で優位に立っていたザエルアポロ。しかし遅れてやってきた十二番隊隊長の涅マユリによって、1秒が100年ほどに感じるという超人薬を自動投与されてしまう。ザエルアポロは永遠のように感じる時間の中で、ずっとマユリの刃が届く瞬間の苦痛と恐怖を抱き続けるハメになってしまった。
この回のラストでは彼の心象風景として、苦しみながら老人となった姿も描かれた。時間が止まるというシチュエーションには一種の憧れを抱きがちだが、当の本人からしたら孤独で頭がおかしくなってしまいそうになるものなのだろう。