■トキがケンシロウの動きを止めた「新壇中」
ラオウに向かっていこうとするケンシロウを止めるため、トキが突いたのが「新壇中」(正式には壇の漢字は月へん)という秘孔。この秘孔を突かれると、術者の声がかからない限り動くことができなくなる効果がある。秘孔の場所は左胸と左腕の間ぐらいにあり、トキは「ビシィッ」という効果音とともに突いていた。
漫画のケンシロウはトキやマミヤの危機を目の当たりにして、己の力で「新壇中」を破るのだが、このシーンが非常にかっこよかった。もちろんすぐに影響を受けた我々はトキになりきって真似をし、この秘孔を突かれた相手は、「う…動かぬ…動かぬのだ……」などと言いながらケンシロウになりきるのが恒例だった。
『北斗の拳』で描かれた秘孔の効果は当然フィクションなのだが、なんとなく本当にありそうなリアリティを感じていたのも事実。それに具体的な秘孔の位置も漫画に描写されていたので、子どもが「ごっこ遊び」をしやすかった背景もある。だからといって、今の子どもたちにあの遊びを真似して欲しいワケではないが……。
当時『北斗の拳』のキャラになりきっていた子どもも、今や立派なおじさんに。マッサージを受けながらツボを押されていると、今も脳内で北斗神拳の秘孔のことを思い出してしまうのである。