■チート能力を持つ「ラッキーマン」こそ最強?
さて、ここまでさまざまな強者をみてきたがやはり「最強」なのは人外キャラに違いない。鳥山明氏による『Dr.スランプ』(1980年〜1984年連載)は、最強キャラが登場するギャグ漫画の原点ともいえるだろう。
主人公の則巻アラレはアンドロイドで、あいさつをしただけで高威力のエネルギー波を出す「んちゃ砲」や、地面にパンチして地球を2つに割る「地球わり」などさまざまな技を持つ。ギャグ漫画だからこそできる表現の可能性を感じる技だ。
あまりの強さに、過去には「アラレと悟空が戦ったらどっちが強いですか?」との質問に対し鳥山氏本人が「アラレちゃんの方が強いんじゃないのかなあ」と返答したこともあった。
さて、ここまででアラレちゃんが最強かと思われたが、すべてのキャラクターに唯一勝てると思われる存在がいる。それがガモウひろし氏による『とっても! ラッキーマン』(1993年〜1997年連載)のラッキーマンだ。彼には秀でた強さはないが、とにかく運が良い。
パンチなどの技自体にはほぼ威力がなく、単純な戦闘力でいえば上記のキャラクター同士で戦ってもラッキーマンがおそらく最弱だろうが、その技は最終的にはたび重なる幸運で相手に大ダメージを与える。
何をしても、あるいは何もしなくても、悪の侵略者から宇宙の平和をラッキーだけで守ってしまう彼の前では、すべての努力も才能も実力も無に帰してしまうだろう。むしろ戦うことすらバカらしくなってしまうかもしれない。
私たちに笑顔をくれるギャグ漫画のヒーローたち。単に強さだけでは語れない魅力があるのは言うまでもない。