■全力を出せば3日で人類を滅ぼせる「斉木楠雄」
人知を超えた力なら麻生周一氏による『斉木楠雄のΨ難』(2012年〜2018年連載)も負けていない。
主人公の斉木楠雄は超能力者で、自身の実力について、すべての超能力を発揮すれば3日足らずで人類を滅ぼせると語るシーンもある。また本編では、斉木が毎年日本最大の火山の噴火を止めるために悪戦苦闘し、失敗するたびに復元能力で1年間地球の時を戻していることが明らかになる。漫画で登場人物が歳を取らないのはよくあることだが、同作においては年月のループも重要なフラグになっていたのだ。
時を復元できるというのは間違いなく最強能力候補の筆頭だろう。ただ一つ難点があるとすれば、斉木自身が事なかれ主義で目立ちたくないというところだろうか。
いっぽう、単純な肉体のタフさでいえば秋本治氏による『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1976年〜2016年連載)の両津勘吉を忘れてはいけない。下町人情コメディ漫画という性質上、両津には特筆すべき必殺技のようなものはないが、常人離れした生命力、転んでもただでは起きない精神力は繊細な現代人にはぜひとも見習うべき存在。
また201巻まで続いた同作品には、ギャグだけでなくサブカルチャーの雑学や当時の世相、流行などがつぶさに記されており、とてもためになる。