2月10日に配信となった任天堂の新作情報番組「Nintendo Direct 2022.2.10」では新作ゲームについての最新情報の他、ファミコン&スーパーファミコン世代が驚く懐かしのタイトルについても発表があった。
特に話題を集めたもののひとつが、名作RPG『MOTHER』と『MOTHER2 ギークの逆襲』のNintendo Switch Onlineでの配信スタートの発表だろう。
「エンディングまで、泣くんじゃない」がキャッチコピーだったファミコン用ソフト『MOTHER』は、その文言通り、がんばってエンディングまで進めると目が覚めるような気づきと感動が味わえる内容で、企画、シナリオを担当した糸井重里氏の才能が惜しみなくつぎ込まれたゲームだった。WiiUのバーチャルコンソールでプレイができたが、ゲーム史に残るこの傑作をようやくNintendo Switchでも楽しめるようになった。
今回は、そんなシリーズ第1作『MOTHER』を振り返っていきたい。
■ボロのバットを片手に
まず、『MOTHER』のパッケージは真っ赤な背景の上部にタイトルロゴが記載されているだけのデザイン。一目見て、これがどういうゲームなのか察することのできた人はいないだろう。しかも、なぜタイトルが『MOTHER』なのか? たしかにゲーム中には主人公の母親が登場するものの、彼女がシナリオに深く食い込むような重要人物とは思えない。
以下、ネタバレを避けつつあらすじを書いてみたい。舞台は1988年のアメリカ。主人公「ぼく」が住むのは、謎のラップ現象やゾンビの出現などが相次いでいる地域。その原因を探求すべく、「ぼく」はボロのバットを片手に冒険へ出かけるのだ。
道中、「ぼく」は仲間を見つける。そして父親に振り込んでもらったお金をATMから引き出して買い物をしたり、ホテルに泊まったりもする。マップ上で敵とエンカウントして戦うのは通常のRPGと変わらないが、敵を叩きのめしたり殺したりという演出はない。武器も「ボロのバット」「ふつうのバット」「いいバット」といったように、日本の子どもたちでも持っているようなものだ。
まるで映画『スタンド・バイ・ミー』のような雰囲気すら漂う牧歌的な内容だが、その中にほんのり切ないシーンがあったりする。そしてこのゲーム、8つのメロディを集めるというのが当面の目的である。メロディが意味するのは……。
あらすじ紹介はこの辺にしたい。それ以上の部分は、「なぜタイトルが『MOTHER』なのか?」ということにもつながってしまうからだ。