■約束された覇道から堕ちたNo.1ヒーローの子
最後に紹介するのは、初登場からずっと詳細が不明なキャラクターとして描かれた荼毘(だび)。相手を殺すことに容赦しない残虐性を持ち、強力な炎の個性でヒーローを苦しめる。その正体は、死亡したとされていた轟橙矢(とどろきとうや)。No.1ヒーロー・エンデヴァーの長男だった。
橙矢は幼い頃からエンデヴァーの英才教育を受け、父をも超えるプロヒーローを志していた。しかし、エンデヴァー以上の強力な個性に体がついていかず、エンデヴァーに「プロヒーローになれない」と見放される(ただし、当初はエンデヴァーのやさしさともとれた)。それでも諦める方法が分からなかった橙矢は、人知れず訓練を続け、あるとき個性が暴走。大きな火災とともに轟家から姿を消し、死亡したとされた。
荼毘と名乗るようになった橙矢はヴィランとして、エンデヴァーへの復讐のみを考えるようになる。壮絶で悲しい過去のせいでヒーローと敵対する道を選んでしまったが、もう少し歯車が違っていれば、強力なプロヒーローになっていたのではないだろうか。
ヒーローの輝かしい活動とヴィランの背景のコントラストは、本作をより楽しむための重要な要素だ。主要なキャラクターの背景はすでに明らかになっており、今後は最終章と銘打たれたアツい展開が期待される。それぞれの過去や未来がどう決着を迎えるのか、楽しみでならない。