■味方がいることでムズくなる、キテレツの苦悩

 基本操作は、Aボタンでジャンプして敵を踏みつけたり、ブロックを叩いてアイテムを出したりする『スーマリ』タイプ。とっつきやすい横スクロールアクションゲームなんですが、このゲーム、死ぬほど難しいと言っても過言ではないのです。

ファミコン『キテレツ大百科』プレイ画面より

 ジャンプ中に十字キーの上ボタンを押すことで重力を反転させることができて、天井を歩けるようになります。これはこれで夢の世界っぽく、さらにアクションの自由度も高くなって面白い要素ではあるのですが、天地が逆になることで難易度が上がります。開始早々、この逆さまになる機能を知らず下の穴を飛び越そうと上ボタンを押しながらジャンプすると0.03秒で空に吸い込まれて即死することとなります。(厳密には一発即死ではなくライフが減り復帰できます)

 さらにこのゲームを難しくしているのが「味方」の存在。1面ではみよちゃん、2面でコロ助を仲間にできますが、ファミコン『ドラえもん』のように彼らが一緒に戦ったり、『悪魔城伝説』のようにキャラ特有の攻撃があったりするわけでもなく、微妙に遅れてついてくるだけなんですね。

ファミコン『キテレツ大百科』プレイ画面より、笑顔で死んでいくコロ助とみよちゃん

 そのくせ、彼らにも当たり判定や落ち判定だけはしっかりあって、みよちゃんだけが敵のタマに当たったり、コロ助だけ逆さまになって落下したりなんてことが多々あります。なので道中がひたすら難しく、天地をひっくり返しながら進み、触ってはいけない箇所も多く足場も悪い中で敵をかわしつつ仲間の動きにも注意するという、的確な判断を常に要求されます。おまけに5面では強制スクロールまであるんです……。

ファミコン『キテレツ大百科』5面より、強制スクロールなうえ微妙なジャンプを要求される

 当時はファミコンソフトは大変貴重なもので、あまりに簡単にクリアできるソフトも子どもたちのひんしゅくを買っていた時代です。なので少しでも難しくしてみんなに長く遊んでもらいたいというメーカーの思いは分かるのですが、仲間にしてマイナスだけというのは、つらいものがありましたね。

 途中、みよちゃんがラスボスにさらわれるので少しだけ楽になるのですが、もう少しだけ調整できる要素があったら名作になれたのにと惜しい気持ちです。

ファミコン『キテレツ大百科』プレイ画面より

 ポップなキテレツを使って、なぜここまで難しさを突きつめたのか。開発の方にぜひ聞いてみたいぐらいです。ゲームをクリアできたとしても、「キテレツ地獄」で閻魔様にライフを借りたままだと真のクリアとはならず、エンディングのテキストメッセージで、「キテレツたちはこそこそとにげかえった。しかし、こんなエンディングでいいのだろうか?」などと言われてしまう始末。

 みなさま、興味があったら一度プレイしてみてはいかがでしょうか。もちろん、最新機では配信されておらず、ファミコン本体が必要になってしまいますが、クリアして真エンディングを見られたときの感動はひとしおですよ!

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