みなさんこんにちは、ゲーム芸人のフジタです。藤子不二雄の漫画を原作としたゲームは『ドラえもん』『オバケのQ太郎』『ハットリくん』に『パーマン』から『パラソルヘンべえ』まで、ほとんどのものが発売されてきました。ファミコン以外も含めれば『21エモン』や『笑ゥせぇるすまん』までもが出ており、漫画やアニメが大ブームとなっていた当時、これらはいずれも大人気のソフトでした。
そんな中で今回取り上げるのは、1990年にエポック社から発売されたファミコンソフト『キテレツ大百科』。キテレツ大百科といえば、のんびりした発明の天才・キテレツくんが、キテレツ斎様の遺した「奇天烈大百科」をもとにさまざまな道具を作り出し、それにより友達と冒険したり失敗したりというほんわかした作品です。
今作は、夢の中で遊ぶ「夢見鏡」をブタゴリラとトンガリに壊されてしまったことで2人が悪夢の世界に連れて行かれてしまい、キテレツが彼らを助けるために冒険に向かうというストーリー。箱ジャケット絵やゲーム内のキャラたちはアニメと同じくかわいらしいものなんですが、悪夢の世界を舞台にしているだけあって世界観が非常にシュールなのが特徴です。
まず1面では一軒家いっぱいに詰まり、巨大化した恐怖顔のみよちゃんが登場! 要するに、この大きくなりすぎたギュウギュウのみよちゃんを、発明した「如意光」で元の大きさにして仲間にするのですが、これが子どもながら、超不気味でトラウマ級でした。
続くステージも画面いっぱいに矢印が書かれていたり、サイコロが敷き詰められていたり、急にコロスケの亡霊が出てきたり、敵のボスがメトロノームだったり、なにやら意味ありそうで何もしてこない巨大な石の顔が出てきたり。これは原作にもある要素ですが、コロ助に「キテレツじごくをつくるナリよ」と衝撃的なセリフで急かされたりなどなど、今作は初っぱなからラストまで不可思議な世界を貫いています。まるで悪夢を見ているような世界観で、子どもたちに相当なインパクトを与えたゲームでした。