■開始50秒でクリアした驚異の方法

 今回の出場選手は、前回の「ドラクエ3」RTAで世界記録を打ち立てたひっしー氏、そしてピロ彦氏とばくぜろ氏の3名。このうち、ひっしー氏とピロ彦氏は、今回のRTAのために、あの「ファミリーベーシック」を持ちこんでいた。

 ファミリーベーシックとはファミコンの周辺機器の1つ。ファミコン本体に接続可能なキーボードとロムカセットを指し、この機器でゲームプログラムを自作することも可能だ。

 RTAがスタートすると、最初に動いたのはピロ彦氏。『ドラクエ3』のカセットを抜いてファミリーベーシックのカセットに挿しかえると、画面に謎の文字列を入力していく。そして入力後、再び『ドラクエ3』のカセットを挿しこむと、ゲームはラスボスのゾーマを倒した後の状態になっており、そのままクリアとなった……。

 ゲームクリアに要した時間は、わずか50秒である。ピロ彦氏と同じ方法で挑んだひっしー氏はミスによって出遅れたものの、こちらは2分46秒でクリアしていた。

 2人が使ったのは、ファミリーベーシックで“コード”を入力し、『ドラクエ3』のエンディングを強制的に呼び出すというもの。言ってしまえばハッキングに近い。今回の配信を見るかぎり、ゲーム本編で触れていたのは主人公の名前入力とアリアハンの王様との会話くらいで、プレイ時間よりエンディングが流れる時間のほうが長かった。

 ちなみに、ばくぜろ氏は『ドクターマリオ』『星のカービィ 夢の泉の物語』『ファイナルファンタジー』の3つのファミコンカセットを挿しかえてバグらせる方法を選択。“バグの仕込み”のために『ドラクエ3』を含めて4つのカセットを次々切り換えていた。

 解説者の説明によると、『ドクターマリオ』では『ドラクエ3』のクリアフラグを立てるための“値”を取得、『ファイナルファンタジー』ではクリアに必要なバグアイテム「4レーへ」を入手できるらしい。一般人には何を行っているのかさっぱり分からなかったが、ばくぜろ氏はその方法により8分34秒のタイムでクリアしている。

 今回披露された「ファミリーベーシック』を用いたプログラムコードの改ざん、まったく異なる複数のファミコンソフトを用いたバグ技など、視聴者のどぎもを抜くプレイが飛び出した『ドラクエ3』のRTA。その理屈はさっぱり理解できなかったが、来年はどんな新しい攻略法が編み出されるのか、ますます楽しみになってしまった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3